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リーガ、サッカーに付加価値を…最新映像システム導入は正解なのか?

 ラ・リーガは最新の映像システムを導入しサッカーに付加価値を与え試合を見る視聴者をよりエキサイティングなものにしようとしている。アメリカメディア『QuartZ』が報じた。

 先日、リーガ36節バルセロナとレアル・マドリードによる伝統の一戦“エル・クラシコ”が行われた。この試合でも使われていた映像システムが360度カメラだ。リーガが2016-17シーズンからの導入に踏み切った360度カメラは、全方位から試合を撮影することであらゆる角度から選手のプレーを見ることができるもの。スタジアムでは見ることのできない映像を提供することで、スポーツの魅力を倍増させる効果を持ち、様々な競技で注目を集めている技術だ。

 『QuartZ』のマイク・マーフィー氏による記事で、リーガがいち早くビデオシステムを導入した背景としてナショナル・フットボール・リーグ(NFL)から影響を受けているようだ。導入の意図として同記事では家庭用ゲームの影響も強いとしている。日本では「FIFA」や「ウイニングイレブン」などのゲームソフトが発売されているが、若年層のファン獲得へ向けた取り組みとして、いかにビデオゲームに近づけるかという点で最新のビデオシステムを積極的に導入したようだ。もちろんこれだけでなく選手達の走行距離などのフィールド情報を各クラブに無料提供するなどリーグに対する利点は多い。

 また、このビデオシステムは日本でも導入されている。2016年10月15日に行われたルヴァンカップ決勝で使われた映像だ。

 しかし、同記事ではリーガの映像システム導入が正しい事だったのか意義を唱えている。アメリカ紙『スポーツ・イラストレイテッド』によるとNFLの視聴者が約10%減っていると伝えられおり、視聴者確保に失敗している。

 さらに、リーガが使う映像システムは試合の中断が多いNFLなどのアメリカ発祥のスポーツで活かされるコンテンツであり、サッカーのような試合が途切れることが少ないスポーツに高度なリプレイ映像を流す時間がそもそもないのではないかと指摘している。

 映像技術の発展によりスポーツに新たなコンテンツを提供しているが、競技によっては向き不向きもあるに違いない。しかし、こういった技術は視聴する側だけでなくプレーする側にも利益をもたらしている。例えばJリーグも来季から導入予定のビデオアシスタントレフリー(VAR)や失点シーンをより深く分析出来るなどサッカー自体のゲームレベル向上にも繋がるだろう。

 映像システムが今後どのようにスポーツと寄り添っていくのか注目していきたい。