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ジェラール・ピケが世界に広める「キングス・リーグ」はスポーツか余興か

ジェラール・ピケ氏 写真:Getty Images

7人制サッカーの国際大会、第2回キングス・ワールドカップ・ネーションズ2025がイタリアで開催され、1月12日の決勝戦でブラジル代表が初優勝した。同大会は、2022年11月に元スペイン代表DFジェラール・ピケ(2023年引退)が立ち上げた7人制サッカー、キングス・リーグ(Kings League InfoJobs)の世界大会である。

スペイン発祥のキングス・リーグなるこのスポーツは、サッカーとフットサルの間を取ったような広さで行われ、ルールはブラジル発祥の7人制サッカー「ソサイチ」をベースに定められている。ピッチサイズは自由とされているが、ソサイチ同様おおよそ50メートル×30メートルで行われることが多いようだ。試合は20分ハーフで行われる。ピッチは天然芝とは限らず、フットサルのように人工芝やゴム床、木床で行われることもある。

ここでは、このキングス・リーグの詳細を検証し、果たしてスポーツなのかエキシビションなのかという点について考察する。


キングス・ワールドカップ・ネーションズ2025 写真:Getty Images

エンターテインメント性溢れる独自のルール

キングス・リーグの特色は、エンターテインメント性が溢れた独自のルールだ。試合はゴールキーパーとフィールドプレーヤー1名で始まり、1分毎に1人ずつ加わり、7対7となるのは試合開始5分。それ以降自由に選手交代が可能(退いた選手も再出場可能)。後半には、試合前にランダムに選んだ「シークレットカード」を使うことができる。内容は以下の通りだ。

キングス・リーグのシークレットカード

  • ダブルゴール:4分間、自チームのゴールの点数が2倍になる
  • 出場停止:4分間、相手チームの選手を1人退場にできる(GK以外)
  • ペナルティキック:流れやファール関係なしにPKを得られる
  • シュートアウト:ボールがフィールドの中心に置かれ、選手は5秒以内にGKとの1対1を実施
  • スタープレイヤー:自チームのコーチが選んだ選手が決めた選手のゴールの点数が2倍になる。その選手はアームバンドを装着する
  • ジョーカー:上記すべてのカードあるいは相手チームのカードを奪い、使うことができる

また、プレジデント(オーナー)が、5分~18分の間あるいは20分~38分の間にPKを1本蹴ることができる「プレジデントペナルティ」なるルールも存在する。さらに、18分で試合が中断され、スタンドからゲストが振った巨大なサイコロの出た目の数に応じて、残り2分の間のピッチ上の人数が決定。その人数の選手がゴールラインに集まり、前半の残り2分はボールの奪い合いとなる。

他にもここでは書き切れないほどの特殊ルールが存在し、サッカーをベースとしながらも、とことんエンタメに特化しており、ルール変更も頻繁に行われている。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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