レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が、11月24日に行われたクラブの総会で、ラ・リーガ、国際サッカー連盟(FIFA)、欧州サッカー連盟(UEFA)をヤリ玉に挙げ、大いに吠えた。
まずはバロンドール投票で、マンチェスター・シティ所属のスペイン代表MFロドリが受賞したことに触れ、「レアルの選手が受賞するべきだった」とFWヴィニシウス・ジュニオール、MFジュード・ベリンガム、主将を務めるDFダニ・カルバハルの名前を挙げたペレス会長。受賞式を”ドタキャン”した選手たちの行動に理解を示してUEFAを批判すると、犬猿の仲で知られるラ・リーガのハビエル・テバス会長をも糾弾し、自身の「スーパーリーグ構想」実現への野望を隠そうともしなかった。
さらに同氏は、2025年6月から7月にかけて32チームが参加し、米国で開催されるFIFAクラブワールドカップについて、「カネ目的で、試合数だけを増加させ、選手に犠牲を強いている」と斬り捨てた。
ペレス会長の舌鋒はこれだけで止まらない。今2024/25シーズンから導入されたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の新フォーマットも俎上に挙げ、「不公平かつ理解できない」とぶった斬ったのだ。UEFAとFIFAが運営する試合が63%も増えたことが選手の故障が増えた原因であることを指摘し、シーズン最多で82試合を戦うことになる現状に警鐘を鳴らした。
同会長がこう語るのも無理はない。今季から始まった欧州CLの新大会方式、とにかく評判が悪いのだ。参加クラブが36に増え、グループリーグを廃止してリーグフェーズ方式を採用。それぞれが8試合を戦い同一の順位表で決勝トーナメント進出を争うのだが、ポッド分けされた全く別のクラブと8試合を戦うため、公平性の観点でどうしても不平等感が生まれてしまう。
例えば、9月20日にスタッド・ルイ・ドゥで行われた、日本代表MF南野拓実を擁するモナコ対バルセロナの試合(2-1)。ホームのモナコがバルセロナを破りいきなりの番狂わせを演じたが、双方が決勝トーナメントに進出し1回戦の組み合わせに恵まれるか、双方が勝ち進まない限り、バルセロナにリベンジの機会はない。
従来のグループリーグ方式ではどうしても最終節には消化試合が生じてしまうため、それを嫌ったUEFAが編み出したこの新方式。最終節まで激しい順位争いが繰り広げられる一方、サッカーの根源である「ホーム&アウェイ」を捨てたことから、決勝トーナメント、あるいはプレーオフ進出は最終節の相手次第という“運”の要素が大きい。
また、グループリーグでは3チームを相手にして6試合だったものが、リーグフェーズでは全て別のチームを相手にしての8試合に増えた。選手の過労のみならず、クラブのスカウティング担当の仕事も倍以上に増えることになる。加えてこの方式はホームとアウェイでの戦績を全く無視したものとなっている。
マドリードの場合、CLリーグフェーズ最終節(1月30日)で対戦するのが、ポッド4ながら4節終了時点で4位と大健闘しているフランスのスタッド・ブレスト。しかもアウェイ戦だ。現在18位に位置するマドリードだが、上位8チームに入り決勝トーナメントにストレートインするどころか、場合によってはプレーオフ(9位から24位)に回る可能性もあり、試合数はさらに増えることになる。
総試合数も125試合から189試合にまで増え、自国のリーグ戦への影響も大きい。最終的には選手層がモノをいう消耗戦となることは必至で、マドリードほどのメガクラブであっても選手の故障は避けて通れないだろう。
付け加えれば、CL最終節を前に決勝トーナメント進出が絶望となるチームが生まれることには変わりなく、「消化試合がなくなる」というUEFAの目論見通りに事が進むかにも疑問を挟まざるを得ない。
UEFAのみならずFIFAも含めいたずらに大会規模を大きくし、“プレーヤーズファースト”の真逆を行く大会レギュレーションの改悪。ペレス会長の言葉を借りれば「(UEFAとFIFAは)サッカーというスポーツを持続可能なものにすることは考えていない」と断じられても反論のしようもないだろう。
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