C大阪戦で見えた、湘南の今後の課題
湘南が今後突き詰めるべきは、[5-2-3]の隊形によるハイプレスの際に、相手のサイドバックへのチェイシングを怠らないことだろう。
前半43分15秒以降のC大阪の攻撃で、同クラブの右サイドバック松田陸がタッチライン際でボールを受けたが、この瞬間同選手に対して平岡や左ウイングバックの中野嘉大がアプローチできていない。松田が余裕を持って敵陣へロングパスを送ると、このボールを受けた上門知樹が右サイドからクロスを供給。上門のクロスボールが湘南のDF岡本拓也に当たり、ゴールの中へ吸い込まれている。上門のオフサイドの反則により得点は認められなかったが、湘南にとっては大ピンチだった。
また、左右のインサイドハーフが前線と中盤を行き来する可変守備のため、このポジションを務める選手には膨大な運動量が求められる。C大阪戦で先発した池田が後半17分、同23分には平岡がピッチを退いている。山口監督が5人の交代枠を活かし、インサイドハーフの守備の強度を維持できるか。シーズン最終盤では、同監督のベンチワークの重要性がより増すだろう。
今後増やしたい攻撃パターンは
今節は阿部のフリーキックによる1得点に留まったものの、湘南の自陣後方からのパスワークにもポジティブな変化が見られた。
前半9分40秒からの攻撃シーンでは、右のハーフスペースに立っていた池田がセンターバックの山本脩斗からの縦パスを受け、右サイドへ配球。その後C大阪の選手にボールを奪われかけたが、阿部、平岡、中野の順でパスが繋がり、最終的に瀬川がペナルティアーク内でミドルシュートを放っている。瀬川のシュートはヨニッチに当たってしまったが、パスワークでC大阪のプレッシングを掻い潜ることはできていた。
相手の[4-4-2]の守備隊形が横に広がったのを見逃さなかった山本と池田。今季序盤の湘南はビルドアップ時のインサイドハーフのサポートが乏しく、パスワークがままならない場面が散見されたが、前述のシーンでは相手の左サイドハーフ為田大貴とFW上門の間から池田が顔を出し、山本からのパスを引き出せている。湘南のビルドアップの上達が窺えた場面だった。
J2リーグ自動降格圏(17位ガンバ大阪)との勝ち点差が「2」と、厳しい状況に置かれている湘南だが、今季序盤と比べて攻守のバリエーションは増えている。リーグ戦残り4試合で、これまで積み上げてきた戦術を体現できるかに注目だ。
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