チャンピオンズリーグ(CL)出場ひいてはプレミアリーグ制覇を目論んで2020/21シーズンに挑んだアーセナル。しかしその目論見は外れ、CL圏内どころか一時は降格ラインに停滞してしまった。シーズンが進むにつれて徐々に調子は上向きになったものの、遅れを取り戻すまでには至らずに今シーズンも中堅クラブから抜け出すことができなかった。25年ぶりにヨーロッパ大会出場を逃すこととなった。
同じロンドンに本拠地を構えるチェルシーやトッテナム・ホットスパーとの差は年々拡大している。特に今シーズン、FWの問題を解決できなかったチェルシーや時代遅れの監督と経験値の浅い監督が指揮したトッテナムにさえにも下回ったアーセナルは深刻な状況と言えるだろう。暗黒時代が終焉を迎える目処が立っていない。
本当にもう後がないアーセナル。今直面している5つの問題について述べていきたい。
「過去の栄光」から抜け出せない
かつてアーセナルは世界からお手本にされるサッカーを展開していた。華麗なボール回しから芸術的なフィニッシュ。時より見せる情熱も加わり見ている者の心をしっかり掴んでいた。しかしかつて味わったその感覚に味をしめ、当時から大きく変容するサッカーに適用してこなかった結果、現在のような凋落に至っている。
ユルゲン・クロップ監督下のリバプール、マウリシオ・ポチェッティーノ監督のトッテナム、アントニオ・コンテ監督のチェルシー、ペップ・グアルディオラ監督のマンチェスター・シティなど、これまで様々な戦術がプレミアリーグに持ち込まれたが、そんな新しい波に頑なに対応しようとはせず過去の栄光にすがり、それが強さだと誤認してしまったようだ。
個人能力一辺倒の戦いから抜け出せない
アーセナルの試合の出来は選手のコンディション次第である。同一選手が驚異的なパフォーマンスを見せるときもあれば、全く機能せず孤立するときもある。その振れ幅があまりにも大きく、コンスタントに結果を残せる選手が多くない。アーセナルがいかに選手のコンディションに依存しているのかが伺える。
昨シーズンまではピエール=エメリク・オーバメヤンがゴールを量産しチームに貢献したが、今シーズンは対照的に物静かなプレーが目立ってしまった。また昨シーズンに大金を叩き獲得したニコラ・ぺぺは、今シーズンの終盤になってようやく躍動し来シーズンへの期待を高めることができたが、かつてフランスのリールで目撃されたぺぺをまだイングランドでは見ることができていない。もしこの2人がいなければ今頃はもっとひどい状況に陥っていたことだろう。ただ今のアーセナルに必要なのは「組織的な攻撃」であり、もっと全体で戦う姿勢が必要であると考える。
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