
流通経済大学サッカー部は3月、部員5人の大麻使用疑いにより無期限活動停止。4月8日に処分がすべて解除され、対外試合を含む全活動の再開が正式に認められた。しかし、この「解除」という言葉が持つ明るさとは裏腹に、中野雄二監督に全日本大学サッカー連盟の理事長職・理事職の活動自粛を勧告されているという事実は、静かに、しかし確実に重くのしかかっている。
大学の公式発表によれば、今回の全面解除にあたり、部員全員を対象とした違法薬物検査を実施し、結果は全員陰性。合わせて違法薬物を使用していない旨の宣誓書の提出、違法薬物に関する研修会の実施、オリエンテーションでの継続的な注意喚起、これら複数の条件を着実に履行したことが評価された。
4月4日、龍ケ崎キャンパスで開催された研修会では、精神保健学・小児神経学を専門とする本学スポーツ健康科学部の金子衣野教授(医師)が登壇。「自分の未来を守るために」をテーマに、薬物の種類・危険性から、大学生が巻き込まれやすい社会的背景、そして具体的な「断り方」の実践まで、実例を交えた内容で全部員と向き合った。講義後のグループワークでは「断る勇気を持つことが大事だとわかった」「周りの人たちへの影響の大きさを改めて認識した」といった声も聞かれたとされる。
だが、ここで立ち止まって考えなければならない。
日本代表MF守田英正(スポルティングCP)、MF満田誠(ヴィッセル神戸)ら多数のJリーガーを輩出してきた「育成の名門」で、なぜ事案発覚前にこうしたコンプライアンス教育が機能していなかったのか。そして今なお、チームを率いる中野監督が全日本大学サッカー連盟における理事長職・理事職の活動自粛を勧告され続けているという構図は、何を意味するのか。3月24日、同連盟は中野監督に対して正式に活動自粛を勧告した。ピッチの上では「解除」が告げられても、組織のトップが動きを止めたままという状況は、問題の決着を「見切り発車」で宣言したようにも捉えられる。
関東大学サッカーリーグはすでに4日に開幕。5日の開幕節は不戦敗(0-3扱い)となっており、12日に予定している2部第2節・城西大戦(JOSAI SPORTS FIELD 第1グラウンド)が、チームにとって事実上の「復帰初戦」となる。
再発防止策の着実な実行と、透明性ある調査結果そのものは評価に値する。とはいえ、中野監督に対する活動自粛が勧告されているという現実で、監督側が何らかの決断を下さない限り、ガバナンス改革が本当に完了したとは言い難い。大学側が同監督の続投を認めるとなれば、サッカー部に対する視線はより一層厳しくなるはずだ。
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