持ちこたえられなかったアル・アイン
アル・アイン陣営にとって悔やまれるのは、特に中盤の選手の試合終盤における疲労度が高く、タイムアップの瞬間まで守備の強度を維持できなかったこと。クレスポ監督が初めて選手交代を行ったのは、後半アディショナルタイム。この時点でアル・アインは試合をひっくり返されていた。
試合後会見で、ある記者から交代カードを切るタイミングについて問われたクレスポ監督。「交代する必要が無いと判断し、試合を進めました。危険な場面も特に無かったと思います」と説明している。確かに後半途中までは目論見通りに試合を進めていたため、この同監督のコメントに概ね同調できたが、中盤の守備の強度を上げるための選手交代はすべきだったと筆者は考える。ゲームを締めくくるための策の乏しさが勿体なく感じた。
第2戦でクレスポ監督が違った采配を振るえるか。この点が見どころのひとつであり、両軍の運命を左右するポイントでもあるだろう。
横浜FMを救った植中と渡辺皓太
アル・アインの守備戦術と速攻に手を焼き、ほぼクレスポ監督の術中にはまっていた横浜FMを救ったのは、植中とMF渡辺皓太だった。
1点ビハインドで迎えた後半27分、FWヤン・マテウスの右サイドからのクロスに植中がヘディングで合わせ、同点ゴールをゲット。「クロスボールに対して、(ゴール前へ)入れていないシーンが多かった」と植中は試合後の囲み取材で述懐していたが、ここでは相手DFハリド・アルハシェミの死角(背後)でクロスボールを待ったのが功を奏した。
後半39分には、この試合途中出場の渡辺がコーナーキックの2次攻撃からゴールネットを揺らす。一度はオフサイドの判定が下されたが、ビデオアシスタントレフェリー(※)の介入によりゴールが認められる。この瞬間、横浜国際総合競技場が歓喜の声に包まれた。
横浜FMは本拠地で奇跡を起こしたものの、アル・アインの守備戦術を攻略できない時間が長かったのは確か。植中をはじめとする横浜FMのインサイドハーフがマンマークを振り切り、チャンスメークを担えるか。この点も第2戦の見どころであり、同クラブが悲願のアジア制覇に向け解決すべき最大の課題だ。
(※)フィールドとは別の場所で試合映像をチェックし、主審をサポートする審判員
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