サッカーと環境活動は無関係のようにも見えがちだが、近年では地球温暖化などの世界的な気候変動に伴い、各国のサッカークラブも率先してスポーツの垣根を越えた様々な環境への取り組みを行っている。
4月21日、WEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)所属のマイナビ仙台レディースは、第16節となる三菱重工浦和レッズレディースとのホーム試合(結果0-3)の際、クラブ初となる「地球を健康にサステナブルデー」を開催。会場のユアテックスタジアム仙台で、多くの人々がサッカーを通じて環境問題を知る機会となった。
この記事ではマイナビ仙台のサステナブルデーの様子や内容の一部を紹介する。
学べるブース体験、スタンプラリーで楽しく
当日のスタジアム周辺には、サステナブルデーイベントとして合計10箇所の様々なブースが登場した。
手回し発電機を実際に操作してぬいぐるみを動かしたり(MELONブース)、本物の電気自動車に乗車する(Audi電気自動車ブース)など環境問題に対する製品の体験型ワークショップブース。長年使用した洋服・バック・おもちゃの回収(ビック・ママ買取サービス、おもちゃ&エコキャップ回収ブース)や、食品を寄贈して生活困窮者の支援団体や施設、子ども食堂等の団体に無償提供するフードドライブ(データコム)など。
一般的に環境問題はやや難しいイメージもあり人々の興味関心には個人差があるが、それを払拭するかのように幅広い年齢層の人々が積極的に参加している様子が伺えた。
なかでも筆者が人々の盛り上がりのポイントとなっていると感じたのが「スタンプラリー」だ。各ブースでは体験をするごとにスタンプが1つもらえて、専用の台紙に合計5つ以上スタンプを集めると特製オリジナルエコバックがもらえる(先着400名)。
そのためスタンプカードを片手に駆け回る子供たちの姿も多く、スタンプを集める楽しさが環境問題に向き合うきっかけにもなっていたようだ。また、スタンプラリー参加人数に応じてクラブが赤十字社に寄付も行う(人数に対し100円)仕組みになっていた。
サステナブルデーを知らずに純粋に試合を目当てに訪れたファンも、興味深そうにして各取り組みに耳を傾ける姿が印象的だった。
スタッフと選手たちが手掛けた「勝利美酒」
様々なブースの中でも特に目を引いたのが、マイナビ仙台のスタッフと選手たちが2023年から約1年間という時間をかけて手掛けたという日本酒「勝利美酒」だ。サッカースタジアムに日本酒という未だかつてないユニークな登場で、限定200本の美しいブルー色のボトルに入った日本酒がお披露目、販売された。
この日本酒製造の取り組みは、同クラブのSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)目標達成を目的とした協働プロジェクトの1つ。宮城県内の地域団体・企業とともにアカデミースタッフやジュニアユース、そしてトップ選手たちが結束し、なんと稲の種まきから田植えに稲刈り、そして酒蔵で酒造りと全ての工程を行ったという。
筆者は実際に完成された勝利美酒を目の前に、酒造りという偉業達成の重みと選手たちの取り組みの真剣さに感動し、じんわりと涙が滲むほどだった。
購入者は日本酒として味を愉しむだけでなく、各ボトルに記載されている抽選番号発表の楽しみも。2024年10月開催のホーム試合会場で抽選結果発表が行われる予定で、当選したラッキーな50名には限定グッズなどがプレゼントされる。選手たちが手塩にかけて造った日本酒を味わいながら、自宅でマイナビ仙台の試合を応援する。これはファンにとっては最高の時間となりそうだ。
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