セリエA

老練なペドロがラツィオ勝利の立役者に。ローマの攻撃機能不全の原因は【試合分析】

ニコロ・ザニオーロ(左)ペドロ・ロドリゲス(右)写真:Getty Images

2022/23シーズンのセリエA第13節が11月7日(日本時間)に行われ、同リーグ4位のローマと5位ラツィオが対戦。

前半29分に、ラツィオのFWペドロ・ロドリゲスが敵陣ペナルティエリアでローマのDFロジェール・イバニェスからボールを奪い、味方FWフェリペ・アンデルソンにパス。ペドロのパスを受けた29歳のブラジル人アタッカーが冷静にシュートを放ち、ラツィオに先制ゴールをもたらした。このリードを守りきった“ビアンコセレスティ(白と水色)”が、最終スコア1-0でローマ・ダービーを制している。

一進一退の攻防が繰り広げられたダービーマッチのなかで、両チームの命運を分けたポイントは何か。この点を分析する。


セリエA第13節、ローマvsラツィオのスターティングメンバー

ローマのビルドアップを読みきったペドロ

基本布陣[4-1-2-3]のラツィオはキックオフ直後よりローマのロングボール攻勢を受け、自陣に釘付けになりかけたものの、前半3分すぎよりハイプレスを仕掛ける。

マッティア・ザッカーニ、アンデルソン、ペドロの3トップがローマの3バックに適宜プレスをかけ、ルイス・アルベルトとマティアス・ベシーノの2インサイドハーフが、相手の2ボランチ(マディ・カマラとブライアン・クリスタンテ)を捕捉。ローマに自陣後方からのロングボール以外の攻め手を与えなかった。

ラツィオ FWペドロ・ロドリゲス 写真:Getty Images

ラツィオの先制ゴールが生まれた要因は、ペドロがニコラ・ザレフスキへのパスコースを塞ぎながら、イバニェスに接近したこと。左サイドにボールを逃せず、仕方なくドリブルを始めたイバニェスからペドロが見事にボールを奪っている。失点シーンの前にも、ローマは3バックからザレフスキとリック・カルスドルプの両ウイングバックへのパスで自陣からの脱出を試みており、このビルドアップのパターンが35歳のスペイン人FWに読まれる形となった。ペドロの予測力が物を言った場面と言えるだろう。


ラツィオ MFマティアス・ベシーノ 写真:Getty Images

隊形変化でローマを惑わす

ラツィオの自陣後方からのパスワークを支えたのは、インサイドハーフのベシーノ。このウルグアイ人MFが時折アレッシオ・ロマニョーリとニコロ・カザーレの2センターバック間やその近辺に降り、ローマの2ボランチの一角クリスタンテを釣り出していた。

これによりセンターサークル付近のスペースが空き、ここを起点とするパスワークをラツィオ側が狙う展開に。ボールの奪いどころを定めきれず、良いインターセプトからの速攻を繰り出せなくなったローマは、前半の途中から勢いを失った。

敵陣と自陣を行き来し、自軍の攻撃を牽引していたセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチを出場停止で欠いたなかでも、ラツィオは隊形変化を駆使して試合を掌握。同選手に代わり先発したアルベルトの、ハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)での上下動も効果的で、対面のカマラを疲弊させていた。

中盤の選手をマンツーマンで食い止めにかかるローマへの対策に抜かりがなかった、ラツィオのマウリツィオ・サッリ監督。公式戦での連敗を2で止めた“ビアンコセレスティ”が、再び上昇気流に乗るかもしれない。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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