CL/EL チャンピオンズリーグ

9季ぶりのCLグループステージ敗退。ユベントスが解決すべき問題とは【試合分析】

ユベントスは[4-4-2]の守備隊形も駆使

詰めが甘かったユベントスの守備

対するユベントスは、相手ボール時に右ウイングバックのフアン・クアドラードが最終ラインに下がり、[4-4-2]に隊形変化。

[4-4-2]の両サイドハーフ、ウェストン・マッケニーとフィリップ・コスティッチがベンフィカの両サイドバック(アレクサンダー・バーとアレハンドロ・グリマルド)に鋭いプレスをかけたが、ダニーロとクアドラードの背後をマリオやアウルスネスに突かれ続け、劣勢に。この状況に危機感を覚えたのか、ユベントスは時間の経過とともに[5-3-2]の守備隊形も織り交ぜるようになった。

[5-3-2]の隊形も織り交ぜたユベントス

前半11分50秒すぎに、バーから最前線のラファ・シウバへのロングパスが繋がってシュートを放たれるなど、ベンフィカのサイドバックに対するユベントスのプレスが緩む場面がちらほら。

[3-5-2]の守備隊形を敷いた同15分45秒すぎには、ベンフィカの最終ラインからのパスがインサイドハーフのアドリアン・ラビオと左ウイングバックのコスティッチの間を通過し、同サイドに立っていたマリオに攻撃の起点を作られる。中央を閉じて相手最終ラインからのパスをサイドに誘導するのか、それともサイドへのパスコースを塞ぎ、中央にパスを誘うのかの意思統一が、ユベントスの選手同士で図られていなかった。

ベンフィカはマリオを起点とするパスワークからコーナーキックを獲得。直後にフェルナンデスが左サイドからクロスを上げると、このボールにアントニオ・シウバがヘディングで合わせ、先制ゴールを奪った(前半17分)。

ユベントスは同21分にコーナーキックからモイーズ・キーンが同点ゴールを挙げたものの、その後もベンフィカに攻め込まれ、同26分には自陣ペナルティエリア内でクアドラードがハンドの反則をとられてしまう。

ベンフィカ MFジョアン・マリオ 写真:Getty Images

これによるPKをマリオに物にされると、同35分には相手のゴールキックから速攻を浴び、マリオのクロスに反応したラファ・シウバに追加点を奪われる。

後半5分にも、グリマルドのスルーパスを受けたラファ・シウバにゴールを許し、グループステージ突破に必要だった勝利は絶望的に。同32分に、途中出場のFWアルカディウシュ・ミリクがサミュエル・イリング・ジュニオールの左サイドからのクロスに合わせ、その2分後にもマッケニーがイリングのクロスのこぼれ球を押し込んだが、逆転には至らなかった。


ユベントス MFフアン・クアドラード 写真:Getty Images

悔やまれる前半の出来

アントニオ・コンテ監督が率いた2013-14シーズン以来、9季ぶりにチャンピオンズリーグのグループステージで姿を消したユベントス。ベンフィカ戦の敗因は、完成度が低かったキックオフから先取点を奪われるまでの守備に尽きるだろう。

攻撃時の[3-5-2]から守備時の[4-4-2]への隊形変化にもたつき、このタイミングでダニーロとクアドラードの背後をベンフィカ陣営に狙われる場面がしばしば。[4-4-2]の陣形を整えた後の守備は無難に行っていたが、問題は隊形変化の最中に、最終ラインの背後を突かれたときだった。

引き続き[3-5-2]から[4-4-2]への隊形変化に磨きをかけるのか、それとも[5-3-2]([3-5-2])の守備ブロックの練度を高めるのか。国内リーグでの巻き返しに向け、ユベントスのマッシミリアーノ・アッレグリ監督は守備のコンセプトをもう一度明確に打ち出すべきだろう。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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