明治安田生命J1リーグの第30節が9月17日に行われ、湘南ベルマーレと浦和レッズがレモンガススタジアム平塚にて対戦。互いに決定機を作ったものの、0-0の引き分けで幕引きとなっている。
J1残留争いに巻き込まれている湘南(J1現14位)と、今季ルヴァン杯優勝の可能性を残している浦和(J1現8位)。同試合で見えたそれぞれの傾向や課題、今後の鍵となるポイントを分析しよう。
主導権を握った湘南、守備が曖昧な浦和
序盤に主導権を握ったのは、基本布陣[3-1-4-2]の湘南。守備の約束事が曖昧だった浦和の隙を突き、波状攻撃を仕掛けた。
浦和の守備隊形は、キャスパー・ユンカーと江坂任が最前線で横並びとなる[4-4-2]。序盤では、中央を閉めて相手の最終ラインからのパスをサイドに誘導するのか、それともサイドへのパスコースを塞ぎ、中央にパスを誘うのかの意思統一が図られておらず。3バックの湘南に対し、数的不利となる2トップで漫然とハイプレスを仕掛けたことも災いし、ボールを奪えない場面が散見された。
前半5分10秒以降の湘南の攻撃シーン
象徴的だったのが、前半5分10秒以降の湘南の攻撃シーン(上図)である。2トップを起点にハイプレスを仕掛けた浦和に対し、湘南の岡本拓也、山本脩斗、アンカーの茨田陽生の3人が小気味よくパスを繋ぐ。
このパスワークで浦和の2トップとボランチの柴戸海を釣り出すと、ぽっかりと空いた中盤のスペースに瀬川祐輔が走り込み、岡本からの縦パスを受ける。その後は右サイドに流れた池田昌生が敵陣ペナルティエリアへクロスを送り、これが瀬川の惜しいヘディングシュートに繋がった。
浦和の守備隊形に着目すると、この場面では左サイドハーフのアレックス・シャルクと柴戸の距離が開きすぎており、岡本から瀬川への縦パスがこのスペースを通過してしまっている。
ボランチとセンターバックの間隔も広がっていたため、この間でボールを受けようとした瀬川を挟み込むこともできず。5分17秒に自陣でボールを受けた岡本からすると、右ウイングバックの石原広教と、中央の瀬川の両方にパスを出せる状況だった。
前半7分13秒以降の湘南の攻撃シーン
前半7分13秒以降の湘南の攻撃シーンでも、アンカーの茨田に対する浦和陣営の守備が曖昧に。江坂が自陣に戻りながら茨田にアプローチしたが間に合わず、同選手の配球からベルマーレのサイド攻撃が生まれ、石原広教のクロスから瀬川がヘディングシュートを放っている。
今季のルヴァン杯優勝の可能性を残している浦和にとって、ハイプレスの練度の向上は急務と言えるだろう。今節の後半開始時には布陣を[4-1-2-3]に変え、ダヴィド・モーベルグ、ユンカー、シャルクの3トップで湘南の3バックを捕捉できていただけに、リカルド・ロドリゲス監督の今後の采配も浮沈の鍵を握りそうだ。
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