スペインで相次ぐサッカー選手の強盗被害。現地時間29日にチェルシーの元ガボン代表FWピエール=エメリク・オーバメヤンが襲われた事件は大きな話題となった。しかしながら、同選手に起こった悲劇は、スペインが抱える問題の一例に過ぎないとスペイン紙『マルカ』が伝えている。
オーバメヤンが強盗に襲われ、顎を骨折したニュースは日本でも多くのメディアに取り上げられた。同選手は3週間の離脱を余儀なくされ、今月1日に2年契約で加入したチェルシーでのデビューにはもう少し時間がかかりそうだ。
スペインでは、サッカー選手を標的とした強盗事件が後を絶たない。2週間ほど前にはバレンシアのスペイン代表FWサム・カスティジェホの自宅に強盗が侵入。幸いにも同選手は外出しており、身体的な被害を受けることはなかった。『マルカ』はリーグ戦が3節行われる間に2度のサッカー選手への強盗事件が起きたことは「偶然ではない」と伝えている。
「このような状況は目新しいものではない」と『マルカ』が主張するように、レアル・マドリードやバルセロナに所属する選手を中心に、トップ選手たちが何度も強盗の被害に遭っている。ブラジル代表MFカゼミーロは2019年に妻と娘が在宅中に強盗に押し入られている。スペイン代表DFジェラール・ピケやスペイン代表MFイスコ、果てはレアル・マドリードの監督を務めていたジネディーヌ・ジダン氏も強盗の被害者だ。
『マルカ』はスペイン国内で活動する犯罪グループが、サッカー選手を標的にしていると指摘。同メディアが現地警察に問い合わせたところ「彼ら(サッカー選手)はコントロールしやすい標的だ。高価な装飾品を身に着け、SNSで行動を発信している」とサッカー選手が標的にされやすい状況にあると説明を受けたという。スペイン国内では暴行事件が増加傾向にあり、高度に組織化された犯罪集団は東ヨーロッパで組織されたものが多いようだ。事件との関りは不明だが、2004年に日本で強盗事件を起こした「ピンクパンサ―」も東ヨーロッパである旧ユーゴスラビアの難民を中心に結成されている。事件の容疑者の1人は、スペインから日本へ身柄を引き渡された。
選手が危険に晒される状況の中で、クラブ側も一定の対策は行っているようだ。ガイドラインを作成し、試合やトレーニングキャンプでのセキュリティを強化することで大きな注目を集めないようにしているという。また、マドリードは「SNSで私生活を公開しないように」と選手たちに呼びかけているようだ。様々な対策が実を結び、強盗の被害が減ることを願うばかりだ。
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