Jリーグ

パトリックの退場、大島僚太のノーファウル。VARはどこまで介入すべきか

パトリック(左)大島僚太(右)写真:Getty Images

2月19日、明治安田生命J1リーグ2022シーズンの開幕戦。ガンバ大阪対鹿島アントラーズとの一戦で、G大阪のFWパトリックが退場になった。

2月12日に行われた「FUJIFILM SUPER CUP 2022」川崎フロンターレ対浦和レッズの一戦では、川崎のMF大島僚太の、浦和MF明本考浩に対する「DOGSO(決定的な得点機会の阻止)」に該当するとおぼしき場面がノーファウルの判定となった。

この2つの事例が疑惑の判定として大きな議論を巻き起こしている。あらためて該当のシーンを振り返り、なにが問題だったのか、どこを改善すべきなのか考察する。


川崎フロンターレ MF大島僚太 写真:Getty Images

何が起きたのかを改めて振り返る

直近の出来事である、G大阪のパトリックにレッドカードが提示された場面から振り返ろう。2月19日パナソニックスタジアム吹田で行われた鹿島との一戦で、問題のシーンが起こったのは前半38分のこと。

自陣右サイドでボールを持つG大阪のパトリックに対し、鹿島の鈴木優磨が斜め後ろからタックル。倒れたパトリックが素早く起き上がろうとするも、鈴木が右手でパトリックの左足のふとももを抱えそれを阻止。パトリックは左手で振りほどこうとし、肘が鈴木のほうへ。鈴木が倒れこみ、パトリックにレッドカードが提示された。

続いて、2つ目の場面。2月12日に日産スタジアムで行われた川崎対浦和の一戦で、事が起こったのは後半30分。

味方からのパスに反応した浦和の明本考浩が、ゴールまで約30mの位置で川崎守備陣の裏へ抜け出す。すぐ後ろから、川崎の大島僚太が懸命に追う。大島は右手で明本の右腕を掴んで引っ張るも、明本は踏ん張って倒れず。しかし失速したことで大島を含む川崎の選手が追いつき、シュートにはいたらなかった。プレーが切れたタイミングで浦和の選手が主審に詰め寄るも、ノーファウルの判定だった。


ガンバ大阪 FWパトリック 写真:Getty Images

2つのシーンの検証点

パトリックの退場の場面は、2つの事柄を分けて考えるべきだろう。パトリックへのレッドカードが妥当だったのか。鈴木が足を掴んだプレーにカードが出なかったことは妥当なのか。

Jリーグは21日、パトリックに1試合の出場停止処分を科すことを発表した。これは仕方がない部分があるように思う。本人としては鈴木の手を振りほどこうとしただけだろうが、報復行為と見られても仕方がない動きだった。

ただ、明確に足を掴んだ鈴木におとがめなしだったことには疑問が残る。おそらく主審からは見えていなかったため、現行のルールにおいてはカードを提示するのは難しい。とはいえ、G大阪のサポーターはとても納得できないだろう。審判から見えていなければ足を掴んでも問題ない、と捉えられても仕方がなくなってしまう。

一方、浦和の明本が引っ張られた場面は、すでに日本サッカー協会の審判委員会が間違った判定だと述べているように、川崎の大島へのレッドカードが妥当だったと感じる。倒れたからファウル、倒れなかったからノーファウル、ではJリーグの掲げる「激しくて、フェアで、エキサイティングな試合」というスローガンに反する動きをしたほうが得だと捉えられかねない。

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名前椎葉 洋平
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