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日本代表戦で「ワクチン・検査パッケージ」のチケット販売も…チャント熱唱で世論反発か

日本代表サポーター 写真提供:Gettyimages

 日本代表は12日、FIFAワールドカップ・カタール大会のアジア最終予選・オーストラリア戦に臨み、2-1と勝利した。埼玉スタジアム2002で行われた一戦では、上限15000人という条件下で行われたが、新型コロナウイルス感染対策の規定に違反する行為があったことで物議を醸している。

 日本代表はカタールW杯アジア最終予選の初戦でオマーン相手に0-1と敗戦。その後は中国戦で勝利したものの、今月8日開催のサウジアラビア戦でも決定力を欠くと、71分にレガネスのMF柴崎岳(29)のミスから先制ゴールを献上し、0-1と黒星。これにより、3試合を終えた時点で全勝のオーストラリアやサウジアラビアから6ポイント差をつけられる厳しい状況になっていた。

 その中で迎えた日本対オーストラリアでは、前半8分にMF田中碧(23)のゴールで日本が先制。日本はその後もチャンスを作ったが、追加点を奪えず前半を終える。すると、オーストラリアは後半20分にMFアルディン・フルスティッチ(25)がMF守田英正(26)にペナルティエリアよりわずかに外側の位置で倒されてフリーキックを獲得。これをフルスティッチに決めて同点に追いつく。

 しかし、日本は後半40分にDF吉田麻也(33)のロングフィードから途中出場のFW浅野拓磨(26)が裏に抜け出してシュート。一旦はGKマシュー・ライアン(29)に弾かれたものの、ポストに当たって跳ね返ったところをDFアジズ・ベヒッチ(30)がオウンゴール。終盤に勝ち越しに成功し、2-1で貴重な勝ち点3を獲得した。

 この劇的勝利に現地で観戦していたサポーターは興奮しているが、日本代表が勝ち越しゴールを奪った直後にチャントを熱唱する動画がSNS上で拡散。これには「チャントはさすがに許せない」、「約2年間我慢してきたのはいったい…」、「ふざけんな」とJリーグクラブのサポーターを中心に観戦ルールが守られていないことに対する批判の声が多く上がっている。

 なお、埼玉県内には先月の時点で緊急事態宣言が発令されていたため、当初は上限5000人での開催となっていた。しかし、日本政府が先月30日をもって緊急事態宣言をすべて解除。政府の定めるイベント収容人数は上限10000人に変更されたが、新型コロナウイルスのワクチン接種証明書、またはPCR検査や抗原検査の陰性証明書を提示する人を対象に5000枚のチケットが追加販売されていた。

 政府は新型コロナウイルスのワクチン接種証明書やPCR検査や抗原検査の陰性証明書を持っている人を対象に行動制限を緩和するという「ワクチン・検査パッケージ」の実証調査を行っており、この一戦も実証調査の対象となっていた。それだけに、今回の観戦ルール違反に対してはサッカーという枠組みを超えて、世論の強い批判を受けることになりそうだ。