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J3岐阜、川西翔太インタビュー【後編】古巣ガンバ大阪との対戦を目指して

大木武 写真提供:Gettyimages

大木監督のサッカーに惹かれて岐阜へ

大分に移籍する前後はボランチとしてプレーすることが多く、葛藤も抱えていた川西。同時期に、弟のFW川西誠が所属するFC大阪がJFL(日本フットボールリーグ)に昇格し、2016年にはJFL得点王にも輝いた。兄にもポジティブな知らせが多く届き、良い刺激になっていたようだ。そして2019年、現在所属する岐阜へ加入した。

「大木さん(大木監督)のサッカーに魅力を感じていたので岐阜に来ました。大木さんには僕がガンバにいた頃から声をかけてもらっていて、実は2013年に移籍するタイミングでは山形か京都サンガに行くことになっていたんです。大木さんが京都を退任することになったので、その時は山形に決めました。岐阜からもまた声をかけていただいて、大木さんが指揮する岐阜に加入しました。だから大木さんのチカラになりたかったんですけど…」

加入当時はなぜ試合に出れていなかったのですか?(川西は大木体制時の出場はゼロでベンチ入りが2回のみ。2019年大木監督は第18節終了時に退任。)

「明確に言われたのは『守備ができないから』でしたね。大木さんの独特な攻撃サッカーは特殊な守備のやり方で成立している部分があるので、それを深く理解できていませんでした。戦術的な守備ができなかったこともあって、大木さんにはずっと怒られ続けてましたね」

「大木さんは高校サッカーの監督のような迫力があって、怖いぐらいでした。日頃は笑顔の多い“サッカーおじさん”なんですけど。オンとオフの差が激しくて、岐阜ではずっとオンの状態でした。もう少しオフの状態を見せてもらっていたら、コミュニケーションを取りながら適度な距離もとって良い方向に進めていたのになと、今では思います。ただ同時に『監督とはこういうものだ』っていうのを目の当たりにさせてもらい、『自分はまだまだ緩かったんだな』と明確に感じさせてくれた監督です」


J2昇格を懸けた後半戦へ向けて練習に励むFC岐阜 写真提供:FC岐阜

J2そしてJ1昇格し、ガンバや大分と対戦したい!

岐阜は今季前半戦を首位の富山と勝点1差の3位で折り返しました。今季の最終節では、その大木監督が率いる敵地での熊本戦(熊本は現在4位)ですね。

「大木さんの下で試合に出られなかったのは自分に原因があり、大木さんのことはリスペクトしています。熊本へ行く前にJ3優勝、J2昇格を決めたいですね。今年のJ3には、昨季岐阜の監督だったカマタマーレ讃岐のゼムノビッチ・ズドラブコ監督や、山形でお世話になった富山の石崎監督もいます。恩師への恩返しの意味でも、そういうチームには負けたくないし、ゴールを決めていきたいです」

「まずはJ2昇格が目標です。そのあとは難しいかもしれませんが、J1へ昇格して公式戦でガンバや大分と対戦して勝ちたいですね!」

やっぱりガンバは特別なのですね!

「ガンバには一緒にプレーしてた選手は少なくなりましたけど、今も(倉田)秋がプレーしていますし、松波さんも監督をされています。奈良FCの大先輩である松代直樹さんがGKコーチもされているので、こっそり応援しています。アカデミーにもオグリさん(元日本代表FW大黒将志)やミョウさん(元日本代表MF明神智和)がいて、今もマネージャーをされている橋本篤さんにも凄くお世話になっていました。知ってる人がいっぱいいるのもあるし、選手だけでなくスタッフも全員がリスペクトできる特別なチームです。だから、そんな特別なチームと公式戦で対戦したいです!」


川西翔太プロフィール

1988年10月28日生まれ(32歳)177cm72kg、奈良県出身。中学卒業後に青森山田高校にサッカー留学、2年生時に夏のインターハイ優勝を経験。大阪体育大学へ進学後、2回生時に総理大臣杯優勝。大学卒業後はG大阪に加入、J1優勝争いやJ2降格、J1昇格も経験するなど、チームの過渡期に3年間プレー。2014年から3年間プレーした山形、2017年から2年間在籍した大分でもJ1昇格を経験。2019年から岐阜に加入し、J3降格を経験するも、2020シーズンはプロ入り後初の全試合出場と2桁得点(10得点)を記録。2021シーズンは前半戦を終了し、J3得点ランキングトップとなる9得点を挙げてチームを牽引中。基本技術が高く、ポストプレーやオフ・ザ・ボールの動きにも優れるFWで、ボランチやサイドMF、トップ下としてもプレーできる。最近の趣味はゴルフ。

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