現地時間11月7日に行われたラ・リーガ第9節バルセロナ対ベティス戦。今シーズンからバルセロナの新エースとして活躍を期待されていたスペイン代表FWアンス・ファティが、前半のうちに負傷しハーフタイムに交代することとなった。
同試合2日後、ファティが左ひざの手術を受け、約4カ月間ピッチを離れることをバルセロナが発表。多くの問題を抱えているブラウグラナ(バルセロナの愛称)にとって、ファティを欠くことは大きな痛手となり、さらにアイデンティティを失う苦しい期間となることが見込まれる。
バルセロナはファティの離脱によってどのように変わるだろうか?ファティの活躍を振り返り、複数の変化パターンを考えてみよう。
2020/21シーズンのファティの活躍
10月24日のエル・クラシコ(バルセロナ対レアル・マドリードの試合)にて、ロナルド・クーマン監督が17歳のファティをスタメンに選んだ時、多くのサポーターが新たな記録の更新を期待した。
ファティはその期待を裏切らなかった。マドリードのMFフェデリコ・バルベルデのゴールによって1点ビハインドだったバルセロナは、ファティの得点によって同点に追いつく。結果は1-3でマドリードの勝利となったが、ファティが17歳と359日で挙げたそのゴールは、21世紀におけるエル・クラシコでの史上最年少ゴール記録となった。
ファティが今シーズン達成した記録はそれだけではない。エル・クラシコの3日前(10月20日)に行われたチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第1節フェレンツヴァーロシュ戦では、CL史上最年少で2ゴールをマークした選手ともなった。
また、同試合中にはMFフィリペ・コウチーニョへの素晴らしいアシストも記録している。ファティのバックヒールアシストによる同得点シーンがこれだ。(表示されない場合はこちら)
ファティの離脱によって考えられるシステムの変更
今シーズンが開始してまだ日は浅いが、現時点でラ・リーガ8位のバルセロナは、1位のレアル・ソシエダとはすでに勝点9の差が開いている。早急な立ち直りが必要なところだが、7試合で4得点を挙げたファティの穴を埋めるのは簡単ではない。
選択肢の1つとしては、システムを少し調整することが考えられる。クーマン監督が2トップのパターンを変更し、センターにアントワーヌ・グリーズマン、右サイドにリオネル・メッシ、そして左サイドにウスマン・デンベレというパターンにするのが最も考えられる形の1つだ。
そうなった場合、デンベレは必ず役割を果たす必要がある。彼は2017年8月にバルセロナに移籍して以降、期待されたほどの活躍ができていない上、トレーニングへの遅刻など多くのトラブルを起こしてきた。このチャンスを掴んで活躍を見せ、これ以上評価を下げないことだ。そうでなければ移籍を希望しても目を向けるビッグクラブがなくなるだろう。
リザーブチームから新戦力を選抜するなら…
ファティの怪我によってバルセロナはリザーブチーム(控え)から選手を選抜する可能性もある。その場合最も選ばれる可能性が高いのは、同選手と似たようなプレースタイルを持つアメリカ人FWコンラッド・デ・ラ・フエンテだろう。
ラ・フエンテは左ウイングのポジションを得意とする右利きのアタッカーであり、スピードそして高い足元の技術を持つ選手である。彼がトップチームに加わりフィットした場合、バルセロナはシステムを変えずに今後の試合にも挑めると思われる。
また、ラ・フエンテ以外に候補に上がっているのは、ブラジル人FWグスタボ・メイヤ、そして日本人サポーターの期待を背負う日本代表FW安部裕葵のようだ。
全てはクーマン監督の判断に
2020年夏の移籍期間に起こったメッシの移籍問題、10月27日のジョゼップ・マリア・バルトメウ元会長の解任から、1月まで新しい会長が決まらないことなど、混乱に包まれているバルセロナ。
フロントの判断が期待できない今、全てはクーマン監督の判断にかかっていると言われている。
クーマン監督はトップを目指すことを優先に考えるだろうか?それともこの混乱期をクラブを立ち直すきっかけとして利用し、若手選手を中心にした新しいバルセロナの基礎を作り上げることに挑戦するだろうか?
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