
12位:大分トリニータ
2019結果:9位/2020注目選手:岩田智輝
2016年にはJ3だったことや現在の戦力を考えると、大分トリニータの2019シーズンの9位は素晴らしい結果であった。しかし“2シーズン目の降格ジンクス”が存在することを忘れずに。湘南ベルマーレ(J2から昇格後2015年には8位、2016年に17位で降格)や、大宮アルディージャ(J2から昇格後2016年には5位、2017年に18位で降格)の例がある。
大分は、これまで戦力になってきた多くの選手がクラブを離れ、2020シーズンは苦しい戦いになるだろう。
藤本憲明は、すでに2019シーズン途中(8月)にヴィッセル神戸に完全移籍した。シーズン終了後には、オナイウ阿道がレンタル元の浦和レッズで復帰と思いきや横浜F・マリノスに完全移籍した。そして、長年大分に貢献してきた後藤優介は、清水エスパルスに完全移籍した。
さらに、タイのパトゥム・ユナイテッドからレンタル移籍中だったティティパン・プアンチャンは故郷に呼び戻され、伊藤涼太郎と庄司朋乃也もそれぞれ所属クラブの浦和とセレッソ大阪に戻った。丸谷拓也は引退した。枯渇した大分が苦しい2シーズン目となることが想像つくだろう。
しかし、大分には片野坂知宏監督が残っている。大分上昇の立役者であり、間違いなく次シーズンも大分をJ1残留に導くと信じている。また、岩田智輝、鈴木義宜、松本怜、三平和司、前田凌佑、小塚和季など、片野坂監督の元で共に成長し戦ってきた多くの選手も残っている。

冬の移籍期間の動きも良かった。大分が獲得した香川勇気(V・ファーレン長崎)と野村直輝(徳島ヴォルティス)は、前シーズンそれぞれのクラブでJ1昇格を逃したものの、間違いなくJ2で際立ったパフォーマンスを見せた。また、2019シーズンで降格が決定した松本山雅からは町田也真人を獲得し、戦力層に厚みを加える。ザスパクサツ群馬から迎え入れたGK吉田舜は、前シーズン群馬をJ2昇格に導いており、GK高木駿の有能な代役となるだろう。
後藤の穴を埋めるのは、サンフレッチェ広島から獲得した渡大生だと思われる。広島ではAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場経験もあるが、残念ながらそこまで出場時間が与えられなかった。オナイウの代わりとして注目を浴びているのは、川崎フロンターレからレンタルでやって来た知念慶だ。川崎に熱望された才能ある若手選手で、重要な資産として大分でも成長や活躍の機会が与えられるに違いない。
総じて、大分は2020年苦闘するだろう。2019年の結果には届かず、2シーズン目のジンクスから降格の恐怖にも襲われる。しかし、片野坂監督とチームは今年もそれらの予想を覆すと思われる。大分は絶えず成長しているクラブであり、J1のエリートと肩を並べるのは時間の問題だ。ただ現在の戦力をライバル達と比べると、今年は安定した中位で終了できれば上出来なのではないだろうか。
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