Jリーグ 大分トリニータ

ミシャのサッカー。Jリーグ成長のために必要なスタイル

写真提供: Gettyimages

元サンフレッチェ広島と浦和レッズ、そして現在北海道コンサドーレ札幌の監督に勤めているミハイロ・ペトロヴィッチのサッカースタイルに関してお話ししたいと思います。

コンサドーレはなかなかいい結果が出せない試合が続いている。サポーターは悔しい思いをしている。しかし、ミシャのサッカーが魅力的であることに変わりはない。サッカーは本来、ゲームであることを忘れちゃいけない。プレーする人も見ている人も楽しまないと意味がない。ハマる時にミシャのスタイルは札幌でしか見れない素晴らしいショーになる。

それだけではない。今日はなぜミシャのサッカーがこの国に必要ということについてお話ししたいと思います。おそらく私の意見に賛成してない人も多くいるだろう。よかったら、記事の下にあるコメントツールに意見を書いてください。みなさんとミシャのサッカーに関して語り合いたいと思います。

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ミスに対して怒らない、トライしない人に対して怒る

「子供だった頃、ミスしたら、なんども監督にひどく怒られた。その時からチャレンジが怖くなり、チャンスがあってもリスクをかけずに、ミスの可能性が低いプレーばかりを選ぶようになった」。以前、サッカー選手や指導者になった数人の方からこういった話を聞きました。それを聞いた時に、数年前の日本代表のいくつかの試合を思い出した。チャンスがあってもフィニッシュまでいけなかったり、ボックス内にいてもシュートを選ばずにパスを回し続けたり…

よかったことに今の日本は違います。理由は二つあると思います。一つはヨーロッパで経験を積んだ指導者や選手が向こうの文化を日本に持ち帰ったからです。そしてもう一つの理由は海外からの指導者がJリーグに違うフィロソフィーを持ち込んだからだと思います。

ミシャが日本に来てから13年になります。一番長くJリーグで所属した外国人監督です。彼は選手たちにミスがあっても怒らないとずっと言い続けていた。むしろ、チャレンジすべきな場面だった場合、選手を褒めることもある。しかし、相手チームにダメージを与える可能性があって、ミスを恐れてチャンスを見逃す場合、トライしなかった選手が叱られるに違いない。単純なことかもしれませんが、選手のレベルアップのためにとても重要なことだと私が思います。

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ヨーロッパのスタイルを目指す

守備を固めて、我慢して、チャンスがあったらカウンターする。日本にはこういった戦略のチームは少なくない。ヨーロッパのリーグではとんでもない強いクラブとそうでないクラブは割とはっきりしている。複数のチームはそんな戦い方をするのは不思議なことじゃない。しかし、Jリーグの場合はチームとチームの間にそんなにあげしいレベルの差がない。選手1人ひとりのレベルも上がっているので、もう少しクオリティの高いサッカーを目指すチームが増えてもおかしくないと思います。

ミシャはヨーロッパのサッカースタイルを目指している。カテナチオで有名だったイタリアでさえ、サッカーが進化して、セリエAは攻撃的なリーグになった。相手の陣地でボール回して得点チャンスを増やす。ボールが奪われたら、切り替えてハイプレス…キーパーもDFの一人として高いポジションを取って活躍する…これは今のヨーロッパのサッカー、そして現在ミシャのコンサドーレがやろうとしているサッカーでもある。

簡単なことじゃないのはわかります。当たり前なことに、守備を固めてカウンターを狙えば失点はそんなにせず、少なくとも勝点1が取れる。しかし、日本のサッカーの将来のためには「負けないサッカー」から「勝つサッカー」に切り替えらなければなりません。ミシャだけではなく、Jリーグの若い指導者のサッカースタイルを見ると、日本のサッカーは進化しつつある。

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日本人の指導者に影響を与える

私はJリーグの経験が浅くて、まだ勉強中です。去年一つの取材がきっかけで、リーグの途中からJ2に所属していた大分トリニータの試合を見始めた。初めて見た試合から、監督の片野坂のスタイルが好きになった。ミシャのサッカーに似ているが、日本らしいところもあって面白いなぁと感じていた。

片野坂がミシャのサンフレッチェ広島時代のコーチだったことを知ったのはその後だった。それで、片野坂のサッカーがミシャのサッカーに似ているという理由はわかった。しかし、片野坂のサッカーはミシャのサッカーより、バランスのあるサッカーという印象を受ける。試合の流れによって、攻めるべき時は攻めるけど、守るべき時間帯になったらしっかり守る。

ミシャのサッカーは日本の指導者の参考になっている。そして、日本の指導者はそのスタイルをそのままパクるのではなく、日本のサッカー文化に合わせて、新しいサッカースタイルを生み出す。

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ミシャのサッカースタイルはカッコいい

サッカーはショーだ。この2年コンサドーレ札幌の試合を見て何回感動したでしょう。数えきれないほどの試合回数です。勝った試合だけのことを言ってるわけじゃない。負けても90分ワクワクした試合もあった。選手はどんな状況にも諦めない、いつも攻撃的な体制をとって戦う…そう言った試合が多い。私にとって、このサッカーはカッコいいサッカーです。

名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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