著者:オッブ・ディーワジン(フットボール・トライブ・タイ)
日本時間5日に行われたワールドカップ(W杯)2次予選、タイ代表対ベトナム代表。この試合が西野朗タイ代表監督の初陣となった。結果はスコアレスドロー。タイ代表のサポーターにとっては悔しい結果になったが、まだまだこれからのチームだろう。今回は西野監督の初陣から見えてきた5つのポイントをご紹介する。
新キャプテンの誕生
ブリーラム・ユナイテッドGKのシワラック・テースーンヌーンはこの試合で初めてキャプテンに抜擢された。 試合開始から20秒あまりで、彼の実力が試されるシュートがベトナムから放たれた。 彼はその場面でも、ベトナムの攻撃に対して試合中に冷静さを失うことはなかった。
下がりすぎないことが肝要だが…
西野監督が初陣に選んだCBはバンコク・ユナイテッドのマヌエル・ビアーとブリーラム・ユナイテッドのパンサ・ヘンビブーンのコンビだった。ただ、ヘンビブーンは開始1分に判断ミスを犯し、ベトナム代表にゴールチャンスを与えてしまった。また、ポジション取りが低すぎる場面が多く、ベトナム代表のFW陣に高い位置を取られ続け、ボールも高い位置で保持されてしまった。
西野監督が試合後に言っていたように、ボールの扱いに長けた選手が欲しいのあれば、ムアントン・ユナイテッドのアディソーン・プロムラクが相応しいだろう。
中盤はダイヤモンド
4バックを採用した西野監督。トリスタン・ドゥ―は右サイドでウィングバックとして駆け回っていた。逆サイドにはFWのスパチョク・サラチャットが起用された。彼もトリスタンと同じような役割を与えられていた。そのため、横浜F・マリノスのテーラトン・ブンマタンは少し絞り気味にポジションを取りバランスを取っていた。
サーラット・ユーイェンとタナブーン・ケサラットは2ボランチ気味な役割で、北海道コンサドーレ札幌のチャナティップ・ソングラシンには自由が与えられた。彼はピッチの様々なところに顔を出すことができた。 ピティワ・スクジッタムマクーとティティパン・プアンチャンは縦の動きでどんどん裏を狙おうとしていた。 これらはすべて、タイ選手のストロングポイントを生かすためのシステムであった。 修正の必要がある部分も多いが、ハマれば大きな武器になるだろう。サポーターにとっては楽しみが増えたと言える。
新星スパチョクの好パフォーマンス
ブリーラム・ユナイテッドからローンでスリンに加入した19歳の新星スパチョク・サラチャットは素晴らしいパーフォーマンスを見せてくれた。攻撃的なMFとして起用された彼は、多くの決定的なシーンを演出。4回のドリブル突破を記録(タイ代表最多)し、シュートを放つシーンも印象的だった。これからのタイ代表を背負う選手になれる逸材だ。
タイサポーターは西野監督の勇気を認める
中盤の主力である大分トリニータのティティパン・プアンチャンそして、チェンライ・ユナイテッドのピティワ・スクジッタムマクーが怪我で出場できないと判明した段階で、守備的な戦い方に切り替える選択もできた。しかし、西野監督は攻撃的な姿勢を貫いている。 もっと言えば、前述した2選手よりも攻撃的なピーラドル・チャムラッサミーとシワコーン・ティアトラクーンと出場させた。 試合後のサポーターは結果に関する不満を漏らしながらも、西野監督の勇気とポジティブさを認めて称賛していた。 西野監督にとって悪くない初陣になったと言えるだろう。
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