多くの監督と異なり、村山哲也監督は注目を浴びたがらない。サンフレッチェ広島で強化部長を務めていた男は、現在タイで監督として活躍している。
村山監督がサムット・プラカーン・シティの監督になったとき、なにもかもを0からスタートさせる必要があったという。実は、サムット・プラカーン・シティというクラブは以前、パタヤ・ユナイテッドと呼ばれていた。しかし、2018年シーズン終了とともにクラブは消滅。サムット・プラカーンという街に舞台を移し、新たに生まれ変わった。
村山監督はこの挑戦を素直に受け入れ、真っ白だったクラブに自身の色を付けている。強化部長というポジションでこのクラブにやってきた村山監督にはトップチームとユースをつなぎ、クラブを国際的な方向にもっていく役割を求められた。
しかし、クラブの監督であったスラポン・コンテプが解任されると、今年6月に村山監督は後任として監督に就任。タイトル争いを繰り広げられる位置まで、クラブをリードしている。
今シーズン首位のブリーラム・ユナイテッドに敗戦した直後であったが、村山監督は私たちフットボール・トライブを練習に招待してくれた。今回のインタビューで読者の皆さんに村山哲也という男を深く知っていただきたい。
※以下FT=フットボールトライブ、M=村山哲也監督
質問1:タイを選んだ理由は?
FT:日本での指導者歴も長く、ガンバ大阪やサンフレッチェ広島といったクラブのユースをチームを担当していた村山監督。なぜタイを選んだのでしょうか?
M:20年以上、日本のサッカーに関わって仕事をしてきました。初めてタイのサッカーを目の当たりにしたのは、ティーラシンがサンフレッチェ広島に移籍したときです。そのときから、タイのチームはどのようにプレーするのか?どんなプレーをするのか?タイ人選手の特徴に興味を持ちました。タイで指導者になることができれば、自分の知識でタイのサッカーをよりよいものにできると思いました。
質問2:タイリーグとJリーグの違いは?
FT:多くのタイ人選手が日本に移籍したいと思っている時代です。サポーターもこの2つのリーグの違いを知りたいと思っています。
M:一番大きな違いとしては、全体的なクオリティの差があります。Jリーグには経験豊富な選手がいて、特に戦術面ではタイの2、3段階上にいます。
また、村山監督はティーラシンを例に出し、文化面の違いも語ってくれた。
M:日本人選手は練習の1時間前に練習場に着き、ストレッチやウォームアップを自主的に行います。4時に練習が始まるとすると、選手たちはその時間までに練習を行える準備を済ませています。しかし、ティーラシンは「なぜこんなに早く練習場に着いているのか?」と尋ねてきました。彼にとって、文化の違いの1つだったでしょう。
戦術の話に戻るが、Jリーグでは守備にも攻撃にも多くのパターンを持ったチームが多い。タイリーグでは1つのパターンしかなく、60分しか持たずに試合のクオリティが急激に下がるということを村山監督は説明してくれた。
M:タイの選手はシステムの中でプレーすることを学んでいないので、90分間もたないのです。私の経験では、12歳以下の選手は縛りもなく自由にプレーさせた方がいいと感じています。しかし、13歳からはグループというものをしっかり理解した上で、試合の流れを学ぶ必要があります。そうすることでプロの世界に近づきます。
村山監督は選手のポテンシャルについても話してくれた。
M:才能に関しては、タイ人選手も日本人選手もほとんど差はありません。しかし、その個人的な才能をどうのようにチームにフィットさせるかが大事なポイントになってきます。それができればタイサッカーのクオリティは一段階あがり、日本でプレーする選手もどんどん現れるでしょう。
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