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『小規模クラブを躍進させる手腕。タイサッカーの発展に貢献する男、村山哲也』

写真提供: Gettyimages

質問3:監督の仕事はどう?

FT:ユースコーチ、強化部長という役割をメインにしてきた村山監督にとって、監督というのはプレッシャーに感じるのでしょうか?

M:まずは楽しいです。今までやってきた仕事を活かすことができています。タイ語がわからないので、正直に言うと周囲の人間が私のことをどう思っているかはわかりません。プレッシャーがあるとすれば、選手と直にコミュニケーションが取れないことです。そういった壁があっても、日々のトレーニングから彼らのベストを引き出さなければいけません。ピッチ外からのプレッシャーは感じていません。自分の哲学、自分のやり方を持ってさえいれば、それにフォーカスして結果を出すだけです。

質問4:どのように若手を育成している?

タイリーグのトップクラブと異なり、サムット・プラカーン・シティは限られた予算で戦わなければいけない。しかし、村山監督の下でプレーする選手たちは、期待以上のパフォーマンスを見せている。村山監督の育成に対する熱意が関係しているのだろう。

FT:今シーズンはピチャ・アウトラとジャオレンサク・ウォン・ゴーンの2選手が特に輝いています。昨シーズンは攻撃的な部分しか担っていなかった2選手ですが、今シーズンはウィングバックとして起用され、サムット・プラカーン・シティのスタイルのカギを握る選手になっています。

M:(育成に関しては)小さな目標を決め、1つずつ達成していくことのみです。そういった目標をクリアすることで選手は私の考えを理解し、チームとしての戦略を理解するようになります。例えばジャオレンサク。シーズン序盤には2試合程度にしか出場していなかった選手です。しかし、カセートサート大学との練習試合で彼に大きな変化が起こりました。試合の前に「そんなに足技を使わなくていい。君はとてもスピードのある選手だから、その武器を使ってほしい」と伝えました。するとこのアドバイスを受け入れた彼は素晴らしいプレーを見せました。そのときから、このチームにとって非常に重要な存在となっています。

M:(ピチャについては)最初はほとんど守備のカバーリングをしませんでした。今は違います。私たちは3バックで戦っています。そして、ほとんどのタイリーグクラブは前線に3枚の選手を置きます。毎回3対3という状況になってはいけません。そこで彼と話しました。「君はチームメイトを3対3という難しい状況に追い込んでいいの?」と質問すると、彼は「ノー」と答えました。それだけで問題は解決し、現在では守備に協力するためにサイドを行ったり来たりしています。

M:たくさんの若手選手をトップチームとともに練習させています。そして、その若手にカップ戦に出場してもらっています。試合には負けるかもしれませんが、若手選手はトップチームでうまくやるには、何が必要かということを学んでいくのです。


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名前:菊池大将
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