J1リーグ第9節、ジュビロ磐田とのアウェイでの一戦を1-2で制したコンサドーレ札幌。第4節から3連敗を喫したが、第7節からの連勝を3に伸ばし、上位勢に食らいついている。今回は、第9節で見えてきた札幌の強みと課題を、ここまでのリーグ戦を踏まえてご紹介する。
精度が増すプレッシング
試合の入りは2枚のボランチを置いて戦いを勧めたジュビロ。それに対して、札幌はアンデルソン・ロペス、鈴木武蔵がその2選手へのパスコースを消しながらビルドアップをサイドに誘導した。これにより札幌が組む5-4、もしくは4-4のブロックの中にボールも人も侵入しずらくなり、前半はほとんどチャンスを与えなかった。
この試合でプレスに高いセンスを感じたのがチャナティップ・ソングラシン。スタート位置をジュビロのボランチ側に立ち、ジュビロの右サイドにボールを誘導。その後、ボールを追う形でサイドにプレッシャーを与え、サイドで数的優位を作って回収した。準備してきたものを高い精度で実現させることができたといえるだろう。もちろん、攻撃から守備の切り替えの早さなど、個々の選手の意識も高いレベルにある。
修正力
試合の中での修正力が低いと度々指摘してきたが、この試合でもその課題は残った。後半はジュビロが中盤の底を2枚から1枚に変更。1列前の選手が1枚増え、その選手が下りてくることで前半よりも札幌のブロック内のギャップにボールを送り込むことに成功している。相手がやりかたを変えてきたときに、変更前と同じ戦い方をすればこの試合のように終盤で盛り返されてしまう。想定されるシチュエーションに対して、チームとしての多くの答えが必要になってくるだろう。
アンデルソン・ロペス不在問題
前半43分に負傷交代したアンデルソン・ロペス。得点力、ダイナミズム(推進力)、カウンターの起点、ボールを引き出す動き、サイドチェンジとチームに多くのものを与えることのできる選手だ。この選手の破壊力を活かすための戦い方を、札幌は完成させた。しかし、負傷時の反応を見る限り、少なくとも次節はA・ロペス不在で戦う必要があるだろう。
この問題を解決するには、A・ロペスが担っていた役割を分担してこなす必要があるだろう(1人で彼の担ってきた役割をこなせる選手は札幌にいない)。どの選手がカウンターの起点となり、どの選手がダイナミズムを生み出すのか、ルーカス・フェルナンデスのシャドー起用や岩崎悠人のシャドー起用か。荒野拓馬をどのポジションで起用するかも定めたほうが良いだろう。
また、ゴール前である程度以上のエゴイズムを発揮できる選手も必要だ。鈴木武蔵はチームの戦い方に合わせるのではなく、チームが彼に合わせるよう仕向ける必要があるだろう。動き出しの質や、ボールを持ってからシュートまでの流れはJリーグ全体で見ても高いレベルにある。強気の姿勢で試合に臨むべきだ。
菅大輝のポジション取り
この試合における菅の攻撃参加のタイミングやポジション取りは非常に効果的だった。常に高い位置を取ることを意識し、小川大貴を抑え込むだけでなく福森がビルドアップやフィードをしやすい形を作り出すことができた。菅の存在に気を取られることで、チャナティップがボールを持った際にも、これまでの試合に比べて余裕があったといえるだろう。これを次の試合も続けることができればアンデルソン・ロペス不在の穴も、多少なりとも埋めることにつながるはずだ。
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