12月のリーグ戦5連勝による“貯金”が
マッシモ・オッド体制で迎えたクリスマスは7位と来季欧州カップ戦出場権を射程に捉えるまでに巻き返し、シーズン開幕当初には想像のつかなった曲線を描いていたウディネーゼ。これにはフリウリのティフォージもご満悦の様子だったが、年明けにこれが束の間の喜びであったことを思い知らされることになる。
その年明け以降チームの勢いに陰りが見え、12月に5試合連続ゴールと万全のコンディションにあったFWケビン・ラザーニャを大腿二頭筋の負傷で失うと、2月中旬のトリノ戦を境に得点力不足に悩まされ11連敗を喫し、この現状を見かねた首脳陣はオッドを解任。後任にはかつて現役時代にユベントスの最終ラインを担っていたイゴール・トゥドール氏を招聘(しょうへい)する。
しかしそれでも降格がすでに決まっているベネベント相手に終盤の同点弾で2ポイントを落とすと、インテルには格の違いを見せつけられ、気づけば「1」ポイント差に降格圏が迫っているという実情を思い知らされることになる。それでも、チーム全体のパフォーマンスは一向に改善を見せない中での第37節・エラス・ベローナ戦におけるウノゼロ(1-0)による3ポイントは、他4クラブとの残留争いで優位に立つ上で必要不可欠なものだったと言える。
その主な理由として昨冬の大躍進による“貯金”が他クラブと比較して残っていることが挙げられる。具体的には、シーズン序盤から降格圏手前をさまよっていたクラブとウディネーゼとの得失点差には大きな開きがあり、かつ1試合を残した段階で「2」ポイント差であることを考慮すると、仮に最終節でボローニャに敗れても降格の可能性はほぼ無いと考えて良いかもしれない。
なおこのフリウリの育成クラブが将来有望なタレントが多く抱えていることは周知の事実である。その中でもチェコ代表MFヤクブ・ヤンクトやMFアントニン・バラクは国内外のビッグクラブから熱視線を送られるほどのクオリティを兼ね備えているものの、年明け以降はチーム全体と同様に下降線を辿っていたように映る。ラザーニャが4月に戦列復帰を果たしてから徐々にコンディションを上げているだけに、ティフォージにとってあとはこの2人の“有望株”のパフォーマンスが気掛かりであるかもしれない。
著者:津田翔汰
フットボールトライブ編集部。Calcio,Bianconeroをこよなく愛する若武者
Twitter:@specialheart889
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