海外日本人選手

24歳で海外4ヶ国でプレー。エスパニョールで挑戦する“品田彩来”という生き方【INTERVIEW】

 学んで発見し続けるという欲求から、品田はリンジー・ウィルソン卒業後にスウェーデンへ移動。翌年にはフィンランドへ移籍した。このスカンジナビア地域での2年で、試合の中でのスピードと強さに順応する力がついたと品田は言う。そして今年6月にRCDエスパニョールとの契約に至った。「テクニックでは、スペインはこれまで見て来た国の中でずば抜けて優れています」自身の新しいホームについて品田は話す。

「日本とは違うテクニックです。日本はどちらかというと動かずに、シンプルなパスやシンプルなタッチがとても上手です。スペインはもっと、何か違いを作るという感じです。例えばボールをジャグリングしながらドリブルができるとか、とても強いパスを出しても柔らかいタッチを保てるとか。より興味深いと言えます」

「すごく気に入っています。スペインで何か新しいものを得られると思います。『わ、そんなパスしてくるの?OK!』とか『あのパスが出せるなら、ここからあのショットを、もしかしたらこんな風にクロスを…』とか、そんな感じです。ここではものすごくたくさんのアイディアを得られるということです」

 プロとしてのキャリアの全てを日本の外で過ごしてきたにも関わらず、品田はまだ「なでしこジャパン」入りにも望みを寄せている。とは言え、所属クラブで成長を続けチームの目標を達成しなければならない。

「自分の国のためにプレーすることは、もちろん誰もにとっての目標の1つでしょうね。それは素晴らしいことだろうと考え始めたとても若い頃から、その思いはありました。でも日本代表チームのためにプレーすることが、私の最大の目標ではありません。歩む道の中でそこを通ることができたら素敵ですが、今の私の目標はチャンピオンズリーグでプレーすること、良いチームのためにプレーすることです。はい、日本のためにプレーするのは素晴らしいでしょうが、現在の目標ではありません。もっと違ったゴールに焦点を当てていて、一生懸命頑張り続けなければならないと思っています」

 現時点での品田にとっての優先事項は、スペインで自身を築くことであり、今プレーする刺激的な環境を最大限に生かすことだ。

「私は、似たようなことをやったり、ただ指令に従うことには飽きてしまいます。日本のサッカーでは常にシンプルにやらなければなりません。または、みんなが信じるものに従わなければなりません。誰もミスをしたくないのです。技術的には試すこともできますが、それをみんなが喜ぶわけではありません。スペインではすごく違います。みんなが試します。わかりませんが、ここはとても快適に感じます」

「私はただの挑戦者です。うまくいくかもしれないし、いかないかもしれないけど、私は本当に気にしません。うまくいくならラッキーと思います」

 この見解は、ここまでの品田にとって効果的という以上の証明をしてきた。これほどのポジティブなアプローチは、今後数年ますます力をつける彼女を作っていくに違いない。

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