著者:マリオ・カワタ
もはやクリスティアーノ・ロナウドが何をやってのけても、驚くべきではないのだろう。15日のロシアW杯初戦スペイン戦でのハットトリックは、まさに圧巻のパフォーマンスだった。中でも逆転を許した後の試合終了間際、ゴール前でのフリーキックを蹴る前の彼の面持ちは、尋常でない殺気を帯びているように見えた。セットされたボールを前に仁王立ちしゴールを睨みつけるその姿は、それだけで「何か」が起きることを予感させるものだった。
さすがにそんなシナリオはできすぎなのでは、と半信半疑の眼差しを向ける筆者のテレビ画面の向こう側で、彼の右足から放たれたボールは当然のようにゴールネットに突き刺さった。まさにスーパースター。そしてほとんどの選手にとってはキャリア最高の瞬間になるであろうこのハットトリックさえ、C・ロナウドにとっては何度となく大舞台で見せてきた超人的な活躍の一つにすぎない。今大会中にも、この日の活躍を過去のものとする大仕事を世界が目撃する可能性は高い。
今さらC・ロナウドの偉大さについては語るまでもないが、何が彼をここまで特別な存在にしたのか、というのは改めて考える価値があるテーマかもしれない。現代を生きる私たちはC・ロナウドとリオネル・メッシの人間離れした業績に慣れてしまったが、10年以上世界最高の選手として君臨してきた選手はサッカー史を振り返ってもほとんど存在しない。才能のあるサッカー選手は多く存在する中で、なぜC・ロナウドはここまで飛び抜けた存在へと成長したのだろうか。
その疑問への一つの答えとなるのが、マンチェスター・ユナイテッドで共にプレーしたリオ・ファーディナンドの証言だ。英紙『デイリーメール』によれば、BBCで今回のW杯の解説者を務めるファーディナンドはスペイン戦の前に、同僚時代のC・ロナウドの「異様な」ライフスタイルについて語っている。
栄養士、医師、専属のフィジオセラビスト、そしてシェフという各種のプロを雇い自宅に招いていたC・ロナウドのような選手は、クラブと代表で数々の偉大な選手と時間を共にしたファーディナンドも他に見たことがなかったという。
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