Jリーグ 横浜FC

1年でのJ1復帰を決めた横浜FC。エレベータークラブ脱却へ必要なピースとは

横浜FC 写真:Getty Images

明治安田J2リーグで2位の横浜FCは、3位のV・ファーレン長崎と勝ち点差「1」の中、11月10日の最終節レノファ山口戦(維新みらいふスタジアム)で0-0で引き分け、1年でのJ1復帰を決めた。

横浜FCは、第35節(10月19日)J2昇格プレーオフを目指すベガルタ仙台戦(ユアテックスタジアム仙台)で今2024シーズンのリーグ戦最多の3失点で敗れ(0-3)、続く第36節(10月27日)ではホームにファジアーノ岡山を迎え4失点(2-4)。さらには第37節(11月3日)のニッパツ三ツ沢競技場でのホーム最終戦では、J3降格が決まっている栃木SCを相手によもやのスコアレスドロー。昇格にリーチをかけながら3戦連続で勝利を挙げることができず、サポーターからはブーイングも飛んだ。

3位の長崎に追い上げられ、10日の結果次第ではプレーオフに回る可能性もありサポーターをやきもきさせたが、何とか逃げ切りに成功した横浜FC。選手やサポーター以上に、四方田修平監督は眠れない日々が続いたことだろう。

ここでは最終節を振り返ると共に、2021シーズンから1シーズンでの昇降格を繰り返す横浜FCが、来2025シーズンJ1残留を可能にするためのポイントを考察する。


四方田修平監督 写真:Getty Images

横浜FC最終節山口戦

第35、36節ではJ2昇格プレーオフを目指すチームを相手に気迫で後れを取り、よもやの2戦連続の大敗を喫し、前37節の栃木SC戦では、失うものがないイレブンの意地を見せ付けられた形の横浜FC。最終節の山口戦は、「勝てば昇格」というプレッシャーに押し潰されそうになっているチームが普段通りの力を発揮できるかどうかがポイントとなる一戦だった。

しかしながらこの日も、立ち上がりから動きが硬く山口に押し込まれ、ポゼッションでも劣勢の時間帯が続く。攻撃でも再三のクロスをゴール前に送るが、山口DFに跳ね返され続けたまま、前半を終了する。

後半、攻勢を強めようとする横浜FCだったが、単調な攻撃に終始し、得点どころか山口のカウンターを浴びるシーンも見られる。四方田監督が動いたのは後半21分。前節に先発復帰を果たしたFW室井彗佑を投入し打開を図るが、試合は膠着状態となっていく。

そして後半35分、指揮官は左ウイングのMF武田英二郎に代えて、DF中村拓海をピッチに送り込み、“引き分けOK”の采配に切り替える。そして何とかスコアレスドローに持ち込み、同時刻に愛媛FCを5-2で粉砕した3位のV・ファーレン長崎の猛追を凌ぎ、勝ち点差「1」でJ1昇格を勝ち取った。

ラスト4戦未勝利というスッキリしない形だったものの、この順位は長いシーズンの積み重ねの結果だ。加えて、終了間際の横浜FCイレブンのなりふり構わず昇格に懸ける執念のプレーには目を見張るものがあった。

昨2023シーズンたった「1」だった降格枠に入り、3度目のJ2降格の憂き目に遭った横浜FC。しかし、四方田監督が就任した2022シーズンと同様、1年でのJ1復帰を成し遂げてみせた。就任3年で2度の昇格に導いた四方田監督の続投は既定路線だろう。4年目突入となれば、クラブ史上最長を更新する。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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