FIFA(国際サッカー連盟)は10月8日、韓国代表FWファン・ヒチャン(ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ)に対する人種差別発言を理由に、イタリア人DFマルコ・クルト(コモからチェゼーナへレンタル移籍中)に10試合の出場停止処分を科した。うち5試合は執行猶予付きで、さらに社会奉仕活動も命じた。
この問題は、7月15日にスペイン・マルベリャで行われたコモとウルブスのプレシーズンマッチ中、クルトがファンを「ジャッキー・チェン」と呼んだことに端を発する。
韓国サッカー協会(KFA)は、7月18日にFIFAへ正式に苦情を提出し、差別行為への厳しい処分を求めた。一方、ウルヴァーハンプトンも欧州サッカー連盟(UEFA)への抗議を検討したが、UEFAはプレシーズンマッチのような公式戦外の事例には対応できないため、最終的にFIFAがこの件を処理することになったようだ。
コモ側は、「クルトは自分をジャッキー・チェンだと思っている」という発言であり、差別的な意図はなかったと見苦しい説明をしたが、FIFAはもちろんこの弁明を受け入れず、処分を決定した。また、コモ側はウルヴァーハンプトンの反応を「過剰」と評する見解を示したが、最終的な処分には影響を与えなかった。
試合中には、ファンのチームメイトであるFWダニエル・ポデンセがこの発言に対し強く反応し、クルトに詰め寄って退場処分を受けるなど、試合は一時騒然とした。試合結果は1-0でウルヴァーハンプトンが勝利し、試合後には同クラブから「いかなる形でも人種差別は容認しない」という声明が発表された。
クルトはその後、チェゼーナへレンタル移籍し、セリエBでプレーを続けているが、今回の処分により一時的に活動が制限されることとなった。FIFAは声明で「差別行為を根絶するための厳しい措置」として処分を正当化し、サッカー界全体に向けた差別撲滅への強い意志を示した。
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