プレーヤーとして、とことん上を目指したい
「(今後は)このサッカー大国のスペインで、プレーヤーとしてとことん上を目指したい。自問自答したものをまとめるとそこに至ります。セカンドキャリアのことなどいろいろ考えないといけない年齢に差し掛かっているのは間違いないんですけど、優先順位の1番目は絶対に捨てたらダメ。現役が終わった後のことを第一に考えてしまいプレーヤーとしての部分が第二第三になるのは、プロとして違います。プロサッカー選手としてとことん上のカテゴリーを目指してやることを念頭に置きながら、その次に例えば『スペインから日本の子どもたちに何かできないかな』『将来良い環境を提供できないかな』などと考えてもいます。
スペインに来てからは怪我もなく、パフォーマンスも自分の感覚的には上がっているので、まだまだできるんじゃないかなという気持ちでいます。この年齢になると、どうしても怪我が多かったりパフォーマンスが上がらなかったり思うように身体が動かなかったり、などという話を聞くんですけど、今のところそのワードは全然当てはまりません。どちらかと言えば、トレーナーと話して新しいトレーニングを取り入れて身体にいろいろな刺激を入れることで、パフォーマンスが上がっています。
35歳から海外に来た日本人選手は多分僕だけだと思うので、日本の若い選手や同年代の選手、いろいろな世代の方に、自分の活躍やもう1回這い上がる姿を、年齢に関係なくプレーヤーとして勝負できるんだよというのを見てもらいたい。自分自身にとって大きなトライですし未来は分からないですけど、そういう意識でやっていきます。『そうは言っても』と人間は思ってしまうし、歳を考えがちな年齢なので、本気で這い上がりたいと思えるかが凄く大切です。
今シーズンはスペインで3年目ですけど、日本でプロ3年目、21歳ぐらいの時にセカンドキャリアのことは絶対考えません。もしプロ3年目でスペインに来たとして、日本の子どもたちとスペインで何かやろうとは考えません。プレーヤーとしてとことん上を目指すぞと思っていたはずです。今、本気でそう思えるかが大切です。経験が邪魔する部分と経験が成長させてくれる部分は両方あるので、経験が邪魔している部分は捨てて、成長させてくれる部分だけにフォーカスしてやっていこうと考えています」
良い環境を作れるかは自分次第
「スペインに来て感じるのは『与えられる環境はない』ということ。もちろん他人から良い環境を与えてもらえれば最高ですけど、ほぼありません。自分自身で良い環境を作るために選択していくことが大切です。日本という国は本当に恵まれています。最低限の生活水準があって、いろいろなものが与えられています。でも、それは大人になるまでの期間。大人になったら自分自身で生きていかないといけないし、自分で現実を打開しないといけない。海外に来た場合は、よりそうです。
例えば、僕がいるカテゴリーで、ラ・リーガのようにトレーニングジムに凄く良い機械を付けてもらったりプールを付けてもらったりすることは絶対に無理です。でも、この環境で何ができるかを考えたら、自分でスポーツジムの会員になったり、プールにお金を払って通ったりすることはできます。自主練したいんだったら近くにグラウンドがあるところに家を借りて、練習が終わったあとに自主練をしに行くことはできます。今の環境を言い訳にせず、良い環境は自分自身で作ってください、全部自分自身が選んだ環境でしょと言いたいです。自分で良い環境を作ることで、目標とするサッカー選手像や目標とするプレーに少しでも近づけるはずです。
これは、多分サッカー選手に限りません。生活する上でも同じで、自分自身で環境を選ぶことが大切です。目標に決めたことから逆算して、何が必要なのかを考える。Jリーグで18年間やっていろいろな選手を見てきた中で、プロサッカー選手として相応する環境作りや行動をしなければ長くやり続けるのは難しいと感じています。せっかくサッカー選手になったのであれば1年でも長く現役としてやってほしいので、自分自身で環境作りには何が必要かを考えてほしい。僕もこの年齢になっても、自分に何が必要なのか何が正解なのかを常に考えて、トレーニングや身体のリカバリー、走り方や身体の使い方などを模索しています」
37歳となった現在も若い頃と変わらずスペインの地で常に上を目指している丹羽大輝。「プロフェッショナル」を体現する彼の旅路に今後も注目したい。
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