ワールドカップ 女子サッカー

女子W杯2023、覚えておきたい歴史的記録まとめ

モロッコ女子代表 写真:Getty Images

史上最多参加32カ国、輝いたアフリカ勢

参加国数がこれまでの24カ国から32カ国に増えた今W杯。8カ国(フィリピン、アイルランド、ザンビア、ハイチ、ベトナム、ポルトガル、パナマ、モロッコ)は初出場国となった。W杯という世界大会のピッチには、各国そして選手自身もまた相当な困難を乗り越えて辿り着くものだ。

中でも今大会で光り輝いていたのが、アフリカサッカー連盟(CAF)の国々(ナイジェリア、モロッコ、南アフリカ共和国)である。モロッコは初出場ながら、強豪ドイツを含むグループHを2位で通過しベスト16。南アフリカ、ナイジェリアもまたグループステージ以上の舞台へ進み、プレーで魅せてくれた。

ナイジェリアは、1991年の第1回目となる女子W杯中国大会から9回連続出場をしている国であり、過去最高成績は1999年アメリカ大会のベスト8であった。2019年の前回フランス大会ではベスト16に進むも、エースFWアシサト・オショアラ(バルセロナ)が怪我のため欠場し結果敗退している。

今大会では「その壁を越えたい」と意気込んでいたオショアラだったが、8月7日に行われたベスト16(対イングランド)の試合では、オショアラの言葉の実現が大いに期待出来る素晴らしいプレーが繰り広げられた。ナイジェリアの闘志が燃え上がり、欧州王者イングランド相手に延長戦からPK戦まで持ち越し。ベスト8の切符まで手が届く寸前にまで至った(0-0:PK2-4)。

この試合は今大会の中でも、ぜひ皆さんにおすすめしたい試合の1つだ。「FIFA+」では今大会のハイライトから全試合が引き続き無料視聴できる。もう一度観たい瞬間を楽しもう!


スペイン女子代表 記者会見 写真:Getty Images

メディアの在り方を見直すターニングポイントに

今大会に当たっては、少なくとも日本では放映権問題(放映権料を巡って開幕1週間前まで放送する局が決まらない異例の事態に)などがあった。他の国々でも大会参加に当たっての様々な問題が存在しただろう。また近年各メディアでは女子サッカーを取り巻く社会的な問題などが取り上げられ、選手のプレーに関することよりも目立つようになった。

しかしながら今W杯を通じて筆者は、日本だけならず世界のメディアが、純粋に選手たちの涙と見事なプレーに感銘を受けて表現する場面を目の当たりにした。ここで気付かされたのが「本来のサッカーの力」だ。たとえ国が違い言葉が通じなくとも人々が繋がりそして感動し、ピッチでドラマのようなストーリーが生まれる。そんな伝統的なスポーツとしてのサッカーの可能性に改めて立ち返って触れた。

ピッチにまでは様々な問題を持ち込まず、プレーをする側もそれを観ている側も、純粋にゲームを楽しみその感動を共有し合う。今W杯で起こったそれは、世界中のメディアの在り方にも影響を与えるきっかけになったのでは無いだろうか。少なくとも筆者は間違いなく、その中の1人だ。

ページ 2 / 2

名前:Molly Chiba
趣味:自然散策、英国のあれやこれやをひたすら考えること
好きなチーム:トッテナム・ホットスパーFC

東北地方の田園に囲まれ育ちました。英国のフットボール文化や歴史、そして羊飼いやウールなどのファッション産業などに取り憑き、没入している日本人女性です。仕事のモットーは、伝統文化を次世代に繋ぐこと。

筆者記事一覧