「日本一、応援したいと思ってもらえるクラブに」
ー新スタジアム建設の件などで、湘南ベルマーレは今転換期を迎えています。サポーター、ホームタウンの住民の理解や納得を得るために、遠藤さんは何を心がけますか?
遠藤氏:新スタジアムに関しては、サポーターの方々を含めた皆さんの、10年、20年来の悲願です。今のスタジアムも大好きですけど、いろいろなものが足りていないという現状がありまして。新スタジアムができたとしたら、サッカーだけでなく、それ以外のスポーツの興行や音楽イベント、そして災害時にも役に立つような、いろいろな可能性を地域にもたらす箱になると思いますし、地域の宝になるでしょう。
ベルマーレのアグレッシブなサッカーを、より臨場感のあるスタジアムで皆さんに見て頂きたい。新スタジアムが現実になれば、新しい景色が見えると思うのでこれを叶えたいです。そのためには「やっぱりベルマーレが必要だよね」と、皆さんが納得して下さることが重要だと思います。
ベルマーレの試合に行ったことがない人にも、「このクラブがあるから地域が活性化してるよね」、「スポーツ教室に行ったら、ベルマーレのコーチが教えてくれたよ」と思って頂けるように、タッチポイントを多くする。これによって地域の皆さんの理解も得られやすいと思います。試合の結果だけじゃなく、これも重要かなと考えています。
ー遠藤さんが考える、Jクラブとファンの理想の関係性を教えて下さい。
遠藤氏:ずっと思っているのが、日本一、応援したいと思ってもらえるクラブにするということですね。「なんか応援したくなっちゃうんだよね」「あいつら頑張っているから応援してやろう」という存在にしたい。
強いクラブと、地域を大切にするクラブを別々に考えるんじゃなくて、ベルマーレはこの両方を持ち合わせるクラブでありたいですね。二兎を追う者は一兎をも得ずと言いますけど、私は二兎を追いたくて。強いからこそ地域から愛されるのかもしれない。けど、結果(サッカーの成績)に左右されずに地域に愛されるための活動をするのも重要だと思うので、両方を叶えることが目標です。
ーこれまでベルマーレを愛してきた人、まだ見ぬベルマーレサポーターになり得る人たちへのメッセージをお願いします。
遠藤氏:(優勝を成し遂げた)2018年のルヴァンカップ決勝が終わった後にピッチ上で選手対応をしていたのですが、そのときにベルマーレのサポーターがいるスタンドを見たんです。サポーターの笑顔がはじける姿を想像していたんですけど、皆さん、涙を流されていました。私、それに圧倒されちゃって。
クラブの存続危機があり、J2に落ち、J1に上がり、またJ2に落ち、またJ1に上がる。本当にいろいろなことがあったクラブを見続けてくれた方や、一緒に乗り越えてくれた方がいらっしゃいます。喜びのときばかりじゃない。悔しかったり、悲しかったりすることのほうが多かったと思うんですけど、(それでも)一緒に歩んで下さったからこその姿だったと感じています。
存続危機のときには想像できなかった景色が(2018年のルヴァン杯決勝には)あって、ベルマーレのルヴァン優勝が本当に“我がこと”として喜んでもらえた。その姿に圧倒されて感動したんです。紆余曲折を一緒に経験してくれて、苦しいときも一緒に這い上がって、喜びもこうして分かち合えた。スポーツの世界の素晴らしさであり、他ではなかなか味わえないものだと思います。
ベルマーレをずっと応援して下さっている皆さんとは、この思いを何度でも一緒に味わいたいですね。これから応援して下さる可能性がある方には、本当にこの輪に入ってもらいたい。私たちはいつも扉を開けて待っていますし、自分たちも地域にもっと深く入っていきたい。ベルマーレらしく、地域と共に歩んでいきたいです。
(了)
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