活躍の場はルヴァン杯からリーグ戦へ
4月後半、チームにとって恐れていた事態が起こる。4月23日、J1第9節の北海道コンサドーレ札幌戦で中村が負傷交代。中盤のフィルター役を1人欠いたチームは、第10節の川崎フロンターレ戦で1-3の敗戦。内容としては非常に悪いわけではないが、失点が重なった。その姿に、昨シーズンの勝てない時期が頭をよぎった。
中3日で迎えた第11節FC東京戦。前とコンビを組んだのは、この試合がJリーグ初先発となる重見だった。対戦相手のFC東京やスペイン2部リーグのCEサバデルなどに所属していた経験豊富な田邉らを差し置いての抜擢だった。
重見はこの試合で、ルヴァン杯と同様に落ち着いたプレーを披露。プレッシャーを受けても持ち前の判断力で冷静に展開し続け、決定的なパスも複数供給した。チームはFC東京をわずかシュート2本に抑え、1-0で勝利。重見は好印象だけでなく、走行距離がチーム最多、スプリント回数もチーム最多タイという数字を残した。
謙虚な姿勢の若き挑戦者
このパフォーマンスには、福岡サポーターからも高評価が相次いだ。クラブが公式SNSで毎節後募集する「印象に残った選手」投票で、重見が最も票を集めたことからもそれは明らかだった。
それから現在まで、リーグ戦3試合連続スタメン出場。試合を重ねるごとにプロの強度に慣れ、前とのコンビネーションは上昇しているように見える。しかし本人は「今はまだビギナーズラック。怪我人が復帰して、自分が試される」と、客観的に現状を見つめる。
一般に公開された17日の練習後には、キャプテンのDF奈良竜樹と数分間にわたって2人で話す姿が見られ、そのことを重見に問うと「プロというのは個人の戦いで、自分次第でどうにでもできるもの。そのための時間の使い方を教えてもらいました」と語った。それは、奈良の重見に対する期待の表れにも感じられた。
この日は中村、井手口ともに全体練習に参加しており、強力なライバルの復帰は遠くないはずだ。それでも「ポジションを渡したくないという思いはあるか?」の問いに「もちろんあります!」と断言。簡単にポジションを譲る気はないようだ。元日本代表など経験豊富な先輩たちとの真っ向勝負に、来シーズンルーキーとなる21歳が挑んでいる。今後の活躍から目が離せない。
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