[5-2-3]の利点を活かしたローマ
[5-2-3]のメリットは、各選手の守るべきゾーンが明確なこと。大外のレーンを両ウイングバックがケアし、3トップと3センターバックで中央の3レーンを埋めれば、守備が安定しやすい。サイドの守備も受け持つ2ボランチは重労働を強いられるが、ローマの場合はスタミナが豊富で、対人守備に長けるマティッチとクリスタンテがコンビを組んだため、堅固な守備組織が完成した。
[5-2-3]とよく似た布陣に[3-4-2-1]があるが、後者は自陣撤退時に2シャドーの選手がサイドへ降りる[5-4-1]の状態に陥りやすく、ボールを奪えてもカウンターに移りづらい。今節のローマは時折ボールサイドに人が寄っていたものの、ディバラ、ペッレグリーニ、ザニオーロの3人をなるべく前線や中央の3レーンに残し、奪ったボールを素早く彼らに預けようという意図も窺えた。
前節のアタランタ戦で受けた退席処分により、インテル戦でのベンチ入りが禁じられたジョゼ・モウリーニョ監督。相手の3バックとアンカーを起点とするビルドアップを封殺し、奪ったボールを確実に前線に届けるためのプランを、今回のビッグマッチに向けて練れていた。欧州屈指の名将と、ベンチ入り禁止の同監督に代わり当日指揮を執ったアシスタントコーチのサルバトーレ・フォーティ氏の、緻密なプランニングによってもたらされた勝利とも言えるだろう。
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