明治安田生命J1リーグ・浦和レッズは今月20日、AFCチャンピオンズリーグ決勝2ndレグの試合会場に関する声明を発表。埼玉スタジアム2〇〇2の芝改修工事の工期短縮や延期を巡る埼玉県との交渉が難航していることを明らかにしているが、一部の浦和レッズサポーターに対する大野元裕埼玉県知事の回答が反発を生んでいる。
浦和レッズはACLグループステージ東地区を4勝1分1敗で突破すると、日本開催の決勝トーナメントでジョホール(マレーシア1部)、BGパトゥム・ユナイテッド(タイ1部)、全北現代(韓国1部)を撃破。ACL決勝へ駒を進めている。
そのACL決勝は従来11月開催となっていたが、アジアサッカー連盟(AFC)は今年1月に2022シーズンの決勝戦を来年2月に開催すると公式発表。そのため浦和レッズは声明で「2021年11月時点では、ACL決勝は従来通り2022年11月の開催が予定されていた為、クラブとしては事前対策を行うことは不可能でした」と主張している。
また浦和レッズは試合会場に関する経過報告として「埼玉県及び関係各所との調整を行っております」とした上で芝改修工事の延期や工期短縮を県から断られたこと、そしてACL決勝開催日程変更にむけてJリーグや日本サッカー協会(JFA)に働きかけていることを明らかにしていた。
この浦和レッズの声明を受けて、浦和レッズのサポーター有志一同は「ACL決勝を埼スタで!!」というスローガンのもと、埼玉スタジアム2〇〇2や浦和駅など複数箇所での署名活動を実施。ツイッター上でもスローガンが拡散されるなど、日を追うごとにサポーターの持つ影響力が色濃くなっている。
その中、一部の浦和レッズサポーターが「知事への提案」制度を利用。埼玉スタジアム2〇〇2でのACL決勝開催実現を容認するように求めたが、大野元裕知事は以下のように回答した。
「日頃より、浦和レッズと埼玉スタジアム2〇〇2を愛していただきありがとうございます。芝の張替え時期については、日本サッカー協会からの日本代表戦の開催要望に応えるとともに、駒場スタジアムや国立競技場の改良工事で埼玉スタジアム2〇〇2以外の試合会場が確保できない状況にあった浦和レッズの理解を得た上で1年延期を決定しました。また、工事期間は、浦和レッズがJリーグのシーズンを通してそのパフォーマンスを十分発揮できるピッチをつくり出すため、芝生が最も根付く春先に合致するよう令和4年11月~令和5年4月に設定しました」
「芝の張替え工事をACL決勝戦開催後の令和5年3月以降に着手した場合、芝を張るのが8月頃となり、芝が最も根付く春の時期を逃し、その結果、芝が活着せず生育に影響が出て枯死する可能性があります。このような状態で使用することによりピッチの状態がさらに悪化し、長期に渡り埼玉スタジアム2〇〇2を利用できないことや試合や練習での選手の怪我などが懸念されます」
「以上の内容について浦和レッズと合意して以降、現在まで、浦和レッズからこの時期のスタジアム利用の要望はいただいておりません。埼玉スタジアム2〇〇2の施設を健全な状態で維持し、日本を代表するクラブである浦和レッズが常にベストの状態で試合に臨むためには、現在予定されている時期での芝張替え工事を行うことが必要である点はご理解いただきたいと思います」
この回答内容がツイッター上で拡散されると、「腹立つ」、「質問と回答が合っていない」、「お役所的な文章」といった声が上がるなど、大野元裕知事への批判が殺到。
また「現在まで、浦和レッズからこの時期のスタジアム利用の要望はいただいておりません」という一文に対して「レッズの声は知事まで届いていないのか」、「なんか違和感ある」と疑問の声が沸き起こっている一方で「1番埼スタでできる可能性が高いのは延期か」、「延期しかないのか」といった意見も見られている。
なお埼玉スタジアム2〇〇2の芝改修工事を巡っては、日本サッカー協会(JFA)が昨年に埼玉県との交渉で工期の延期で合意。今年1、2月にFIFAワールドカップ・カタール大会アジア最終予選2試合の開催が実現している。
そのため、今回の回答に対しても「日本代表のためなら延期するのかよ」、「田嶋には怒ろう」と日本サッカー協会(JFA)や田嶋幸三JFA会長に対しても怒りの矛先が向けられている。
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