Jリーグ

C大阪が突いた4バックの泣き所、浦和に足りなかった守備原則【ルヴァン杯試合分析】

セレッソ大阪 FW加藤陸次樹 写真:Getty Images

C大阪はA・マドリードを彷彿とさせるチームに

後半6分に山中亮輔のクロスから加藤陸次樹がゴールを挙げたほか、同35分にも途中出場のFWジェアン・パトリッキがカウンターを結実させたことで、完勝を収めたC大阪。第2戦の最大の勝因は、バリエーション豊富なハイプレスだろう。

浦和が4バックを崩さずにビルドアップを試みた場面では、加藤と上門知樹の2トップが浦和の2センターバックにチェイシング。GK西川周作にも2トップの片割れがプレスをかけたことで、浦和に余裕のあるビルドアップをさせなかった。

浦和の2ボランチ、伊藤と岩尾憲のどちらかが2センターバック間に降り、変則3バックを形成した際は、加藤と上門の2トップと、為田と毎熊のどちらかの計3人で数的同数を作りながらアプローチ。最終ラインに降りようとする伊藤や岩尾に、C大阪のボランチ(奥埜と鈴木徳真)が付いていく場面もあるなど、浦和の隊形変化に即した守備ができていた。

セレッソ大阪 DFマテイ・ヨニッチ 写真:Getty Images

スプリント力が高く、守備の出足も鋭い加藤と上門の2トップ、及び為田と毎熊の計4人を起点とするハイプレスは迫力満点。無尽蔵のスタミナを活かし、上下動を繰り返せる奥埜と鈴木、ヘディングの打点が高いヨニッチと鳥海がセンターラインを固めているため、相手を自陣に引き込む守備にも安定感がある。オーソドックスな[4-4-2]の布陣をベースに、ハイプレスも自陣撤退守備も自由自在。密集地帯を厭わずにボールを受けることができ、縦方向への鋭いドリブルも持ち合わせている北野颯太や清武弘嗣がベンチに控えているため、遅攻が必要な状況にも対応できる。昨年8月より指揮を執っている小菊昭雄監督のもとで、C大阪はひと昔前のアトレティコ・マドリードを彷彿とさせるチームへと成長した。

10月22日に行われるサンフレッチェ広島との決勝戦で、C大阪が前述の強みを発揮できるか。これが、次回の大一番の見どころのひとつと言えるだろう。

ページ 2 / 2

名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

筆者記事一覧