神戸のこれまでの監督の人事
これまでの監督の人事が、最もわかりやすく神戸の問題を表している。28年目を迎えた神戸の歴史で、リュイス暫定監督で28人目。このうち丸2年以上監督を務めたのはスチュワート・バクスター監督、川勝良一監督、松田浩監督、安達亮監督、ネルシーニョ監督の5名のみだった。
またシーズン途中の監督交代は、今回で14回目だ。楽天グループの創業者である三木谷氏が経営権を取得した2004年以降には11回あり、2人どころか3人以上が監督を務めたシーズンも4回ある。そのうち2005年と2012年にはJ2リーグへの降格を経験している。
三木谷氏が経営権を取得した2004年。J2リーグで優勝し、現在J1リーグで2連覇中なのが川崎フロンターレだ。こちらは2004年以降のシーズン途中の監督交代がわずか2回と対照的である。
戦術の浸透に時間のかかるサッカーにおいて、継続性が重要であるにも関わらず、神戸にはまずそれが不足している。
定まらないチームスタイル
従って、神戸は目指すサッカーのスタイルもはっきりしない。パスを繋いで攻撃的なサッカーを仕掛ける川崎や横浜F・マリノス、堅守の名古屋グランパスなど、昨年の上位クラブの多くは誰が見てもわかるようなスタイルを持つ。そのため、調子を崩した場合に立ち返る場所をしっかりと有している。
2018年以降J1リーグで最も人件費をかけているクラブであるにも関わらず、神戸は成績が不安定な状況が続いている。実際に、昨年はクラブ史上最高の3位に入ったものの、消化試合数が他チームより多い今季はここまでで16位だ。
アンドレス・イニエスタ、山口蛍、セルジ・サンペール、大迫勇也、武藤嘉紀、酒井高徳、菊池流帆ら多くの実力者を抱えていることは間違いない。しかし「チームのスタイルに合う選手だから」という理由で獲得した選手はどれだけいたのだろうか。
まずはチームの目指すスタイルを定め、よほどのことがない限り変えてはならない。そしてそれに適した監督やスタッフ、選手を、専門的な知識を持つ人物が揃えていくべきではないか。
リーグトップの資金力という他にない強みはある。他チームのサポーターが「ヴィッセル神戸ってこういうサッカーだよね」と言えるようになった時、優勝がグッと近づくはずだ。
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