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サポーターの胸を熱くする城後のプレーとは
前述したように、アビスパ福岡を昔から応援するサポーターは4度のJ1昇格と3度のJ2降格、経営危機と悔しい歴史を送ってきた。けれど、これらの出来事の側には常に、背番号10を背負う城後がいた。そういったサポーターにとって、城後こそアビスパ福岡の象徴なのである。
冷静に見てみると、彼は決して何でもできるという選手ではない。ポストプレーは苦手だし、プレーの幅はむしろ狭い。けれどサポーターにとってそんなことは関係ない。城後のどんな時でも全力な姿に勇気付けられてきたのだから。
豊富な運動量で前線からの守備をいとわないし、そのユーティリティ性で左サイドバックを除く全てのポジションでプレーした経験を持つ。2013年6月1日のロアッソ熊本戦では、交代枠を使い切ったあとの味方の負傷によってゴールキーパーさえも経験した。
また中学生の頃に陸上競技(やり投げ)でジュニアオリンピック4位になったほどの身体能力を活かした、ゴールの派手さも魅力だ。利き足の右足だけでなく左足でも強烈なシュートを放て、ヘディングも強い。またオーバーヘッドでのゴールも何度か決めており、記録以上に記憶に残る得点を挙げてきた。
そして城後のプレーに魅了されているのは、サポーターだけではない。
FC岐阜、徳島ヴォルティス、愛媛FCでプレーし確かな技術をみせた、元U-21スペイン代表のシシーニョは、日本でのプレーを熱望した理由の1つに城後の存在があったという。スペインのオサスナ所属時代の友人がアビスパが好きで、その影響で城後のファンになったシシーニョはこう語っている。「城後寿がJリーグ最高の選手」だと。
36歳となる2022シーズンへの期待
そんなバンディエラ城後は、昨年のJ1リーグで12試合に出場したものの、プロ1年目以来の無得点に終わった。2022シーズンは35歳で迎え、4月16日には36歳となる。
一般的には安定した活躍が難しくなってくる年齢だろう。さらに2021年J2リーグ得点王に輝いたルキアンを加えたアビスパ福岡のFW陣は、昨年以上に層が厚い。実際に、ジュビロ磐田との開幕戦(2月19日)のメンバー表に城後の名はなかった。
厳しい競争が待っていることは間違いないが、公式戦通算518試合出場、93得点40アシストを記録しているバンディエラはどんな状況でもベストを尽くす。昨年の8月25日、リーグチャンピオンの川崎フロンターレに勝利したあの一戦(J1第26節)で、53分の城後のチェイシングがホームスタジアムの雰囲気を変えたように。
そしてサポーターは夢見ている。この姿勢が報われ、城後がシャーレ(優勝皿)を掲げる姿が観られることを。
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