
2022FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)のアジア最終予選も最終局面を迎える。ホームで連戦中の日本代表にとって予断を許さない状況の中、予選を戦うメンバー選考に対する関心が高まっている。
日本が過去出場したW杯6大会においても、最終的なメンバー選考での当落選には注目が集まった。1998年フランス大会の三浦知良の落選、2002年日韓大会の中村俊輔の落選など、実際に戦い出場機会が少なかった選手よりも落選した選手の方を覚えているという方も多いのではないだろうか。
ここでは、過去に日本代表に呼ばれ海外クラブで活躍を続けていながら現在代表選抜からは遠ざかっている選手たちについて、カタールW杯に向けた選抜の可能性も含めてまとめていく。

中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル)
167cmと小柄ながらも重心が低く鋭い切り替えしが可能なドリブルを武器として、ポルトガルや中東のクラブで経験を積んでいる中島翔哉。海外挑戦初年度(2017)は、ポルティモネンセで10得点12アシストと強烈な印象を残した。以降中東への移籍や、ポルトガル「ビッグ3」の一角であるFCポルトでのプレー経て、現在ポルティモネンセへ戻っている。
日本代表では森保一監督体制の発足当初「10番」を背負い、南野拓実(現リバプール)や堂安律(現PSVアイントホーフェン)と共に強力な攻撃陣を形成。キリンチャレンジカップやコパ・アメリカ2019では得点という形でもチームに貢献してきた。
そんな中島だが、ここまでの選手生活では多くの怪我に悩まされいる。代表では2016年U-23のトゥーロン国際大会を負傷の影響で欠場、フル代表のAFCアジアカップ2019では現地まで帯同するも直前に負傷離脱。クラブでも、アル・アインへ移籍したばかりの2021年2月、脛骨骨折と靭帯断裂の大怪我が報じられた。
現在ポルティモネンセへ戻ってからは、2021年10月に怪我からの復帰を果たし得点も挙げて復調の兆しを見せている中島。カタールW杯に向けては、主戦場である攻撃的なポジションは久保建英(マヨルカ)を筆頭とした東京五輪世代の台頭も目覚ましく、日本代表への復活が厳しい状態ではある。しかし、森保体制発足時の攻撃陣の連動性や中島の「個」の力を思えば、熾烈なメンバー争いに食い込んでもらいたい選手であることは間違いない。

久保裕也(シンシナティ/アメリカ)
日本では京都サンガ(当時J2)のユースを経て、高校時からのトップ登録でキャリアをスタートさせた久保裕也。海外挑戦は2013年スイス1部のBSCヤングボーイズへの加入から始まり、ベルギーやドイツを渡り歩いて現在はメジャーリーグサッカー(MLS・アメリカ)のシンシナティに所属し活躍を続けている。
そんな久保の日本代表としての歩みは、不運の連続といえるだろう。まずは2016年リオデジャネイロ五輪世代のストライカーとして期待を集める中、最終予選のタイ戦やイラク戦では見事ゴールという結果で応え大いに本大会出場に貢献。しかし当時所属していたBSCヤングボーイズが招集を拒否したことによって、五輪本大会出場は叶わなかった。
フル代表でもバヒド・ハリルホジッチ元監督下で頭角を現し、2018年ロシアW杯最終予選のUAE戦やタイ戦での連続ゴールを含め本大会出場に貢献。本戦のメンバー入りも濃厚かと思われたが、直前の監督交代の影響もあってか選外となり、またも本大会出場が叶わなかった。
上述のタイ戦でのゴールに代表されるように、丁寧で正確なシュート技術を持っている久保。現在所属のシンシナティではボランチとしての起用も経験し、ボール奪取や対人戦のスキルが向上。以前招集されていた頃よりも格段にポリバレントな選手となっているに違いなく、代表での活躍の幅もより広がると考えられる。

井手口陽介(セルティック/スコットランド)
今冬のセルティック(スコットランド)への移籍で、自身2度目の海外挑戦をスタートさせた井手口陽介。古巣となるガンバ大阪では早くから頭角を現し、ニューヒーロー賞やベストヤングプレイヤー賞などの個人タイトルも手にしている。
フル代表としては、2016年ガンバ大阪時代にハリルホジッチ元監督の目に留まって初招集。記念すべき代表初ゴールは、日本代表の6大会連続W杯出場を決定づけたロシアW杯最終予選オーストラリア戦(2017年8月)におけるダメ押しの2点目だった。
そのロシアW杯本大会の2018年には、初の海外挑戦としてリーズ・ユナイテッド(イングランド)への移籍も果たした井手口。最終予選終盤の活躍からはW杯メンバー入りの可能性も高いと思われていたが、監督交代や移籍先での出場機会の減少などの影響もあってかバックアップメンバーとしての帯同に。結果的にはクラブ側の都合もあって帯同すら叶わなかった。森保体制になってからは、招集される回数も減っている。
反対に近頃招集が増えている古橋享梧、旗手怜央、前田大然ら東京五輪を戦ったフル代表候補たちは、皆セルティックでプレーする。井手口も彼らと同じクラブに活躍の場を移したことで、カタールW杯のみならず次のW杯も見据えると、連携面の醸成や海外での経験値の上昇に大きな期待が持てる。
その他
その他、代表返り咲きを狙う香川真司(シント=トロイデン/ベルギー)、過去森保体制で招集歴のある北川航也(ラピード・ウィーン/オーストリア)、中村航輔(ポルティモネンセ/ポルトガル)など、海外で活躍を続ける選手は多い。残り少ないアジア最終予選や親善試合等で、彼らに代表復帰のチャンスは来るのか。カタールW杯本大会への出場成否ももちろんながら、代表戦の度に話題になるメンバー選考からも目が離せない。
コメントランキング