ガンバ大阪監督就任と錆びた肌感覚
今季から4度目のC大阪就任となったクルピ監督だが、今回サポーターからは当初から歓迎されていなかった。なぜか?2013年に3度目のC大阪監督退任後、母国ブラジルの名門アトレチコ・ミネイロでタイトルも獲得するなど手腕を発揮していたが、2018年にC大阪のライバルであるG大阪の監督に就任するという「まさか」の出来事が起きたことが大きい。
G大阪はクルピ監督の「若手を抜擢しながら攻撃的なサッカーで魅力的なチームを作れる手腕」を評価したという。
しかし、クルピ監督のサッカーはC大阪で2010年と2013年に躍進したシーズン、共に32失点(34試合制)に抑えたようにセンターバック(CB)の強さを前提とした守備が基盤になっていた。当時C大阪のCBでプレーしていた元日本代表の茂庭照幸(現JFL・FCマルヤス岡崎)は「(前所属FC東京の)城福浩監督(現サンフレッチェ広島監督)の下では大きく蹴り出すプレーはNGだったが、クルピ監督はOKだった」と言葉にした。つまり、攻撃的かどうかではなく、個人戦術や個の能力を優先させる縛りの緩いチーム作りが特徴だった。それがシーズン中に海外クラブから引き抜かれる選手が多く出るなど選手の入れ替えが激しいC大阪のチーム事情に即していたのだ。
そこを理解されずにG大阪とは乖離が生まれ、G大阪サポーターからも歓迎されなかった同体制は僅か半年で(2018年7月)終焉を迎える。クルピ監督は母国復帰(2018年10月5度目のアトレチコ・ミネイロ就任)後も芳しい結果を残せずに、2019年4月に同クラブも解任となると、一時は「監督業引退」を宣言した状態であった。
また、クルピ監督のトレーニングは紅白戦をメインとしたシンプルなものだった。実践の中で職人のような肌感覚で勝負する指導法は、現場から引退していたブランク(2019年4月から2020年12月)もあって錆びついていたのが実情だろう。
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