
ユーロ2020に選出の「黄金世代」メンバー
2017年当時、U-20代表以上に英国内で「黄金世代」と期待をかけられていたのがU-17イングランド代表だ。17歳にしてマンチェスター・シティからドイツの強豪ボルシア・ドルトムントへ海外移籍し、すでにトップチームでも出番を得ていたのがジェイドン・サンチョである。彼のU-17W杯出場はドルトムントとの間で「グループステージ限定」との取り決めがなされていたほどだ。
2017年のU-17W杯、サンチョはグループステージ3試合で3得点を挙げてチームを去ったが、U-17イングランド代表は大会MVPに選出されるMFフィル・フォーデンの活躍で優勝。エースFWリアン・ブリュースターは準々決勝と準決勝で2試合連続のハットトリックを記録するなど、大会8得点を挙げて得点王。チームも大会全7試合で23得点を記録するなど、他国を圧倒する強さを見せつけた。
そんなスター軍団だったU-17代表から今回のユーロ2020に選出されたのは、フォーデンとサンチョの超逸材2人。U-20代表からは前述のカルバート・ルーウィンと大会中の負傷でメンバーから外れたGKディーン・ヘンダーソンの2人。2017年の育成年代をダブル制覇した両代表チームからの選出は僅かに4人となった。ただし、彼等以外にもU-20代表からはDFフィカヨ・トモリ、MFルイス・クック、エインズリ―・メイトランド・ナイルズ、FWソランケの4人が、U-17代表からはFWカラム・ハドソン・オドイと合計5人がフル代表に選出された経験を持っている。
他のユーロ2020メンバーに注目してみれば、GKアーロン・ラムズデール、DFベン・ホワイト、リース・ジェームズ、MFメイソン・マウントの4人もサンチョらと同世代で、加えて2018年まではアイルランド代表を選択していたMFデクラン・ライスと、すでにフル代表に定着してU-17W杯不参加だったFWマーカス・ラッシュフォードも同世代。極めつけは、彼らよりさらに若い2001年生まれのFWブカヨ・サカと2003年生まれのMFジュード・ベリンガムまでいる。イングランドの“超育成力”は恐ろしいばかりだ。
ユーロ2020の登録メンバーは26人。育成年代をダブル制覇した「黄金世代」メンバーはそのうちの僅か4人。これを見て育成年代の世界大会を強化の場としてどう位置付けるのか?ただ、彼等と同世代の選手が6人いて、年下も2人いることが重要な要素で、そこにはやはり国内リーグのレベルの高さがあると思われる。日本も2019年のU-20W杯へ久保とGK大迫敬介、MF安部裕葵の招集を見送ったが、Jリーグのレベルが欧州主要国に追いついて来た自負もあるのだろう。
以下に、2017年のU-20とU-17の両W杯登録メンバーの、当時所属していたクラブと現所属クラブを列記する。育成年代で世界王者になっても4年後の現在は下部リーグで燻っている者もいれば、育成年代では表舞台に立てなくても一流に成り上がった者もいる。やはり、国内リーグの充実と選手自身のキャリア選択が最重要事項であることは間違いない。
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