サッカーの試合には多くの人々が関わっている。Jリーグ中継『DAZN』のピッチサイドリポーターもそのひとつだ。J2・ファジアーノ岡山の試合をメインにリポーターを担当する岡山県在住のフリーアナウンサー・加戸英佳さんもそのひとり。加戸さんの妹は、元女子日本代表DF加戸由佳選手(現・吉備国際大学Charme岡山高梁)である。
そんな加戸さんに、「夢だった」ピッチサイドリポーターのお仕事についてお話を伺った。サッカーに対してストイックに向き合っている彼女の言葉からは、“サッカーファンあるある”が溢れている。(取材・文・写真:新垣 博之)
―2017年にピッチサイドリポーターとしてデビューされましたが、その後たくさんの試合を担当されて来ましたね?
「2017年は2試合のみだったんですが徐々に担当する試合を増やしていただいて、2019年はファジアーノ岡山(以下、ファジ)さん以外にも、京都サンガさんとFC岐阜さんの主催試合も多く担当させていただきました。ただ、昨年からコロナ禍の影響によって、都道府県をまたぐ移動は原則禁止になりました。それでも、昨年は岡山県開催の試合は全て担当させていただきまして、有難いことに今年も全て担当させてもらっています。スケジュールは2、3カ月ごとに決まっていくのですが、今年も全て担当していきたいと思っています」
―加戸さんのサッカーとの出会いは?
「小学校2年生から約2年間を静岡県で過ごした影響が大きかったと思います。その頃から妹がサッカーを始めてどんどん上手くなっていくのを見ていて楽しそうだなって思っていましたね。ただ、その頃はまだサッカーにハマってはいませんでした。私は小中学校ではバスケットボールをプレーしていまして、2005年の岡山国体(60回国民体育大会)の強化指定選手にも選ばれていたんです」
―バスケ良いですね。私もサッカーをしていましたが、『キャプテン翼』よりもよく観るスポーツアニメがありまして。
「アレですよね?」
―(一緒に)「『スラムダンク!』(笑)」今の30代の人達のスポーツアニメの定番ですからね。当然ながら高校でもバスケを?
「バスケは続けようと思っていたのですが、進学した高校の女子バスケ部には顧問の先生がいなくて部員だけで練習をする環境だったんです。小学生の頃から知っている先輩方もいらっしゃって実力的にもレベルが高いチームだったんですが、私個人としては監督がいて指導を受ける環境を求めていたので。そこでバスケからは離れることにしました」
「支えられる側」から「支える側」へ
―そこからサッカーに変わったのですか?
「最初は『バスケやめてどうする?帰宅部は嫌だし』と考えるところから始まったんです。そしたらサッカー部がマネージャーを募集していたんですね。妹もサッカーしてるし、その時に、『今までのスポーツとの関わり方は選手として周りに支えられて来ただけだから、今度は支える側を経験しよう!』、と考えて、コレだと思ったんです!
それで実際にマネージャーに応募したんですけど、なぜか“学年に1人”という縛りがありまして、しかも最終選考まであったりして人気があったんです。そこで何とか選んでもらってサッカーにハマっていきました」
―サッカーにハマるキッカケはあったのですか?
「高校で1つ上の先輩のマネージャーさんがサッカー大好きな人で、一緒に色んな試合を観に行っていました。その人の影響が大きいかもしれません。あとは華やかなスポーツに見えがちなんですが、目立たない選手の重要性を知れたことが好きになっていったキッカケかもしれません。
それから、バスケの選手として出場を目指していたはずの2005年の岡山国体です。各校のサッカー部は会場のお手伝いをすることになり、マネージャーは競技場のアナウンスを担当することになって。その大会には今もファジでプレーしている喜山康平選手や槙野智章選手(現・浦和レッズ)、柏木陽介選手(現・岐阜)も出場していたんです」
―その段階で彼等の名前を知っていることが凄いですね!当時はまだスマホも普及していませんし、ユースや高校サッカーではなく国体は選抜チームですし。
「槙野選手や柏木選手がいる当時のサンフレッチェ広島ユースがとても強くて有名でした。岡山からも近いので、プリンスリーグの試合などをよく観に行っていましたので」
―その後、青山学院大学に入学されます。引き続きサッカー部のマネージャーを続けられたのですね?バスケ経験者だと名門・青学バスケ部の方に惹かれる気がしたんです。
「バスケは観るとプレーしたくなるから観ないようにしていたんです。でも、すでにサッカーにハマり過ぎちゃってましたから」
―青学サッカー部と言えば、横浜FCのDF武田英二郎選手と同期ですよね?私は2013年に初めて彼のプレーを観たのですが、個人的に凄く興味深いサイドバックの選手です。
「そうです!大学では主将もしていて、“英ちゃん”って呼んでいました。ちなみに英ちゃんのどんなところが?」
―最近は「内側に入ってゲームメイクもできるSB」が評価されていますが、2013年の段階で武田選手はすでにそういうプレーをされていました。当時のSBでこういうビジョンがあるプレーをするのは、ドイツ代表のフィリップ・ラーム選手と日本代表の内田篤人選手くらいだと思って観ていました。
「え?そんなに?でも英ちゃんは大学の頃から凄く頭の良い選手だったし、だからこそ長くプレーし続けていられると思うので納得です」
―リポーターを担当された試合で武田選手と遭遇したこともあるんですか?
「2018年のJ2リーグ第19節、岡山VS横浜FC戦(0-0)で、初めて英ちゃんが出ている試合(フル出場)を担当しました。久しぶりに会ったので試合後に話し込んでしまいました。英ちゃんに迷惑をかけてしまったので、今でも反省してるんです。でも、4年間の部活動を一緒に過ごした英ちゃんの試合を担当できるなんてメチャクチャ嬉しいですよ!
最近では浦和の小泉佳穂選手や、京都の荒木大吾選手など、青学出身の選手が増えてきているので嬉しい限りですね!」
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