ニコラ・ぺぺ
19/20シーズンにクラブ史上最高額の移籍金である7200万ポンド(約93億円)でフランスリーグのリールからアーセナルへ入団したニコラ・ぺぺだが、プレミアリーグ2年目でもフランスで見せた魅惑のプレーは実現されていない。リール時代には、18/19シーズンリーグ戦で22ゴールと驚異的な記録を打ち立てたが、アーセナル加入後すべての公式戦でのゴール数を足しても18/19シーズンには及んでいない。大きな期待が寄せられて赤いユニフォームに袖を通したが、まだ周囲からの期待に応えられていない状況だ。
加入初年度こそ、適応に難しいプレミアリーグを理由に大目に見る識者も多かったが、2年目でも変わらず停滞したパフォーマンスのため彼への評価も悪い方向へ傾き始めている。彼自身も「時間が欲しい」とメディアに吐露していたが、時間をかけて印象を残したプレーがエズジャン・アリオスキ(リーズ・ユナイテッド)への頭突きでは示しがつかない。
ぺぺ自身、アーセナル入団をもしかすると後悔しているのかもしれない。むしろぺぺはリバプールへの移籍をするべきだったと考える。当時アーセナルの他にぺぺ獲得を検討したとされるクラブは、インテル、ナポリ、そしてリバプールだった。もしリバプールがぺぺを獲得していたなら、アーセナルよりも手厚いサポートを受け、高いパフォーマンスを維持していたかもしれない。ユルゲン・クロップ監督の人心掌握術は絶妙でペペの持ち味を最大限チームへ引き出すことができたはずだ。サディオ・マネとのコンビでゴールを量産するシーンが容易にイメージできる。ここからぺぺは奇跡的な復活を遂げることはできるのだろうか。
ウィリアン・サリバ
2列目のポジションではないが、ウィリアン・サリバも移籍先を間違えたかもしれない選手の1人だ。19歳という若さで対人能力に長けた長身ディフェンダーで18/19シーズンにアーセナルと契約を果たした前途有望な人材だ。19/20シーズンは前所属であるサンテティエンヌへ期限付き移籍し、今シーズンからはロンドンへ拠点を移した。
1年間の修行を経て今シーズンからアーセナルの守備力強化に一躍すると思われたが、アルテタは彼をトップチームで起用する気配すら感じられず、この冬にまさかのフランスリーグのニースへ再び期限付き移籍で放出するという大失態を演じた。今シーズンから主力としてアーセナルの一員になるものと期待していたファンにとってもこの決断には失望を隠しきれない。
若くして実力を備えたサリバはどのクラブも喉から手が出るほど獲得したい人材だった。当時トッテナムもサリバ獲得を望んでいたようだが、結果的にはアーセナルが獲得レースを制した。もしかすると、サリバはアーセナルではなくトッテナムに行けばよかったのではないかと強く後悔しているかもしれない。トッテナムはヤン・ヴェルトンゲンやトビー・アルデルヴァイレルトの高齢化を背景に、予てから新たなディフェンダー要員を模索しており、今もなおミラン・シュクリニアルといった新しいディフェンダーの獲得を希望している。もしサリバがトッテナムにいたならば、トップチームでの出場は確約され、ジョゼ・モウリーニョの下飛躍的な成長を遂げていたかもしれない。
サリバは上記のインタビューでのコメントを取り消したいと思うと同時に、「実力ある選手をただ保有しているクラブ」と「実力ある選手が試合で活躍しているクラブ」は違うという大きな教訓を得たに違いない。
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