2020年2月10日(日本時間)に行われたミラノダービー(インテル対ミランの試合)は久しぶりの“見もの”となり、しばらくは両サポーターの頭から離れないだろう。過去数年このダービー戦はあまり注目を浴びてこなかっただけに、その盛り上がりは目を見張るものがあった。
合計6得点、それ以外にもポストとバーに当たった複数のシュート、両チーム選手の熱意…。
結果的には4-2でインテルの勝利となった同試合は、90分間、観戦者に期待と興奮を与え続けながら、4つのことを教えてくれた。
その1:ミランにとってイブラは絶対に必要な選手
ミランにとって、現在ユベントスと並んでセリエA優勝を争っているインテルを倒すためには、奇跡が必要だった。そして、それを起こせる人間は他の誰でもない。やはりズラタン・イブラヒモビッチだった。
まずは、前半をリードに導いたミランが決めた2得点共が、イブラから生まれている。1点目の時はペナルティエリア内に来た扱いにくいロンパスをイブラが頭で落とし、アンテ・レビッチへの絶妙なアシストとなった。そして2点目は、コーナーキックからファーサイドにきたボールを自身がヘディングで見事に決めた。
さらに、イブラのパフォーマンスはゴールとアシストの話だけでは測りきれない。彼が試合に出場すると、ミランは全く別のチームとなる。レビッチはピッチ上の様々なところに現れて大活躍。また、ハカン・チャルハノールもサム・カスティジェホも、仕掛ける場面がたくさんあった。
ボールをダイレクトに触らなくても、攻撃に直接絡まなくても、イブラがいるだけでミランは勇気を出すことができる。彼の一生懸命な性格が周りの選手に勢いを与えるのはもちろん、「俺がいれば大丈夫」というイブラのオーラが平均年齢の若いこのチームに安心感を与えているのだ。
(参照:イブラは「天からの贈り物」リーダーが加わり進化したミラン)
その2:ミランのピオリ監督はダービーが苦手
ミランのステファノ・ピオリ監督のこれまでを分析すると、彼はダービー戦に苦手意識を持っていることがわかる。
ミランの監督になる前も、ラツィオ 、そしてインテルの指導者として、ピオリ監督は様々なダービー戦を迎えてきた。しかし、今回のように前半にリードしていた試合で、結果的に勝つことができなかったケースが多いのだ。
例えば、2015年1月11日、2-2で終わったローマ対ラツィオのローマダービー 。ピオリ監督率いるラツィオは、前半終了の時点でステファノ・マウリとフェリペ・アンデルソンのゴールで試合をリードしていた。しかし、後半に入ってから、フランチェスコ・トッティのドッピエッタ(同じ選手が1試合に2得点を決めること)でローマに追いつかれている。
また、2017年4月15日、ピオリ監督がミラノダービーの反対側のベンチ(インテル側)に座っていた際は、アントニオ・カンドレーバとマウロ・イカルディのゴールでインテルが2-0で試合を支配していた。しかし、その後2人のディフェンダー(アレッシオ・ロマニョーリとクリスティアン・サパタ)の得点で、ビンチェンツォ・モンテッラ監督率いるミランがインテルに追いついている。
今回ミランはダービー戦で勝利し、ランキングを上げるための勢いを付けたかっただろう。しかし、この重要な一戦で最も自信を持って戦わなかったのは、ピオリ監督自身だったのではないだろうか?
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