代表チーム クロアチア代表

1998年の偉業を超えたクロアチア代表。タレント揃いの2つの黄金世代

クロアチア代表のルカ・モドリッチ 写真提供:Getty Images

 ボバンとルカ・モドリッチという卓越したテクニックとビジョンを備えた2人の10番に象徴されるように、中盤のタレントの豊富さは20年前も現在も変わらない。しかしアサノビッチやロベルト・プロシネチキがボバンとともに華麗なテクニックを披露していた一方で、その組織の完成度とバランスという点では21世紀のチームに分があるかもしれない。長年コンビを組み絶妙のコンビネーションを見せるモドリッチとラキティッチの世界最高峰のミッドフィールダー2人に加え、イバン・ペリシッチやマルセロ・ブロゾヴィッチといった脇役のクオリティの高さも今大会の躍進を支えている。

 逆にディフェンスで分があるのは、1998年組だろう。当時3バックを敷いたクロアチアは、3位決定戦を含む7試合で5失点。複数失点を許したのは1-2で敗れた準決勝のフランス戦のみで、日本戦を含む3試合でクリーンシートを達成している。スイーパーのイゴール・シュティマツ、大会後にインテルにステップアップしたダリオ・シミッチ、ボール扱いに優れたスラバン・ビリッチが主に組んだ3バックは、ウィングバックと共に堅固な守備を形成した。

 デヤン・ロブレンとドマゴイ・ビダを中心に置いた今大会の4バックも、これまでの6試合で5失点と20年前に近いレベルの堅守を誇る。特にビダは準々決勝ロシア戦の延長戦でコーナーキックに合わせてゴールを決めるなど目立つ活躍を見せているが、サイドバックも含めた個々のクオリティではやや見劣りする。ただゴールキーパーのダニエル・スバシッチはデンマーク戦での3本のPKセーブをはじめ、イングランド戦でもビッグセーブを見せるなど、特に決勝トーナメントに入ってからはフランス大会の守護神ドラゼン・ラディッチを上回る貢献度の高さを見せている。

 クロアチアが決勝で顔を合わせるのは、奇しくも1998年に準決勝で敗れたフランス代表だ。当時キャプテンを務めたディディエ・デシャンが率いるチームを相手に、新たな黄金世代は偉大な先輩たちに立ちはだかった壁を越えて、祖国に初優勝をもたらすことができるのだろうか。ズラトコ・ダリッチ監督は決勝進出を決めた後、「準備はできている」と語っている。

著者:マリオ・カワタ

ハンガリー生まれドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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