セリエA

5クラブによる混戦のセリエA残留争いから抜け出すのは【第3回】

SPALのホームでは格上のクラブが苦杯を舐めている  写真:spalferrara.it

半世紀ぶりのセリエA挑戦で“大健闘”も

 インテル、アタランタ、ユベントス…、これらの強豪クラブはスタディオ・パオロ・マッツァから3ポイントを持ち帰ることが決して簡単ではないことを悟っただろう。2015年からわずか2シーズンでレガ・プロからセリエAへの“飛び級”を果たしたことにより、カルチョ界で一目置かれる存在となったSPALの善戦ぶりを見ると、残留争いに「巻き込まれている」という言い方は大きな語弊を生むだろう。

 約半世紀という時を経て表舞台に戻ってきたSPALだが、昨季のセリエBでは当時ジェンナーロ・ガットゥーゾ率いるピサには及ばなかったものの、将来有望なイタリア人守護神アレックス・メレットを中心とした強固な守備を披露し、42試合で39失点にまとめる。そして今季は筋肉に問題を抱えコンディション回復に遅れをとったメレットの代役であり、ロシアの地で日本と相対するであろうセネガル代表GKアルフレド・ゴミスが好パフォーマンスを発揮すると、シーズン終盤には戦列に戻ってきたメレットが6戦連続ドローに大きく貢献する仕事ぶりを見せている。

 エラス・ベローナやベネベント、クロトーネなどセリエBでも対等に渡り歩いたクラブからは3ポイントを確実につかみ、格上相手には1ポイントをもぎ取る姿勢を貫いているが、ここまでリーグ2番目となるドローの多さ(14試合)がリーグテーブル上では災いとなっている格好だ。

キャプテンを務め、今季は9ゴールを挙げているミルコ・アンテヌッチ(写真中央)  写真:spalferrara.it

 ただこの最終節を前にチームはディフェンスラインをはじめ、様々なポジションで不安を抱えることになりそうだ。残留争いに「持ち込む」原動力となったメレットが今度は肩を負傷し再び離脱を強いられると、今冬にパレルモから加入し、ほぼ全試合で先発フル出場を果たしていたDFチアゴ・チョネク、さらには同じく3バックの一角を担っていたDFバルトシュ・サラモンが累積警告のため出場停止に。そしてこれに追い打ちをかけるように、レジスタとしてチームの舵取り役に徹していたMFフェデリコ・ビビアーニをはじめ主力4選手がコンディションに不安を抱えるなど、最大で8選手が欠場する“緊急事態”に陥っている。

 しかし前線に関してはこれまで通りベストメンバーで臨めそうだ。1月にベルガモの地からやって来たMFヤスミ・クルティッチは中途半端なポジション取りで相手守備陣を翻弄すると、シーズン後半からキャプテンを任せられている遅咲きの点取り屋ミルコ・アンテヌッチ、そして2年前のプレミア挑戦によるトンネルからようやく抜け出しつつあるアルベルト・パロスキを自由自在に操っている。セリエA残留に向け、ホームに駆け付けるであろう多くのティフォージを味方につけて臨む最終節では、この3選手が守備陣の不安を一掃するほどのパフォーマンスを発揮できるかどうかが結果に直結するかもしれない。

著者:津田翔汰

フットボールトライブ編集部。Calcio,Bianconeroをこよなく愛する若武者

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