ラ・リーガ バレンシア

スペインのローカルダービーを巡る旅:バレンシア・ダービー編

バレンシア

バレンシアの選手たち 写真提供:Getty Images

 もうひとつのバレンシア・ダービー

 そのクラブカラーから「イエローサブマリン」の愛称で親しまれるビジャレアルは、プリメーラ・ディビシオンでデビューを飾ったのが1998/99シーズンと、比較的遅い。彼らが欧州の舞台で、最も印象的な活躍を見せたのは2005/06シーズンだろう。マヌエル・ペジェグリーニに率いられ、フアン・ロマン・リケルメや、ディエゴ・フォルラン、フアン・パブロ・ソリンを有したチームは準決勝に進出する快進撃を見せた。

 セグンダ・ディビシオンに降格したことが1度だけあったものの、それ以外では常に欧州カップ戦出場権争いに絡むビジャレアルは、同じ欧州カップ戦への出場権を争うライバルでもあるバレンシアに対して、特に近年はレバンテにも負けないライバル心を前面に押し出して試合に挑む。

 今シーズンは両チームともに充実したシーズンを送っていると言える。特筆すべきはバレンシアだ。今シーズンから指揮を執るマルセリーノ・ガルシアは、昨シーズンほとんど壊滅状態にあった守備組織を劇的に改善させた。ジョフレイ・コンドグビアとネトの獲得は大当たりで、すぐにチームに安定性をもたらした。37失点はリーグ4位の数字で、1試合平均の失点数はちょうど1点だ。

 日本時間6日にビジャレアルのホームスタジアム、エスタディオ・デ・ラ・セラミカで行われた今シーズン2戦目の両者の激突は、近年のライバル関係を象徴するかのように激しいフィジカルコンタクトも多く見られる、ダービーらしい白熱した展開になった。両者譲らずに迎えた86分、左からのフリーキックをキャプテンのマリオ・ガスパールがニアで合わせてビジャレアルが劇的勝利。スタジアムいっぱいに埋まった黄色い手持ち旗が揺れる中で、バレンシアに対してシーズンダブルを達成するとともに、来シーズンのヨーロッパリーグ出場権を獲得した。

 2018/19シーズンはバレンシアがCLに、ビジャレアルがELに出場する。バレンシア州の両クラブが、欧州で再び旋風を巻き起こす姿えお楽しみにしたい。

著者:土屋一平

フットボール・トライブ・ジャパン編集長。通称「ペペ」。ベティスをこよなく愛す(ベティコ)。

Twitter:@PPDOLPHINS

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