セリエA ラツィオ

ローマ勢とインテルによる来季CL出場「2」枠を巡る攻防の行方は?

CL準々決勝でバルセロナを撃破し、喜ぶローマの選手たち  写真提供:GettyImages

新生ディフランチェスコ体制が1年目にして“ユーベ超え”

 ブラウ・グラーナ(バルセロナの愛称)を目前にスタディオ・オリンピコで披露した“大逆転劇”は、間違いなく今季のチャンピオンズリーグを語る上で避けては通れないハイライトだ。カンプ・ノウで1-4と惨敗を喫したジャッロロッシは2ndレグで猛攻を仕掛け、3点差をものともせず追いつき2試合合計スコアでバルセロナを退けた。そして続く準決勝でもアンフィールドで終盤に2点を返し逆転突破へ活路を見出すと、ホームで迎えた2ndレグでは後半の怒涛の反撃を見せ、バルセロナ戦の再現を目指したもののあと1点及ばなかったものの、リバプールを崖っぷちまで追い込んだパフォーマンスは称賛に値するものだった。

 34年ぶりにベスト4入りを果たしたローマは、欧州の舞台で9920万ユーロ(約129億円)にのぼる大金を手に入れており、このCL関連収入でイタリア王者・ユベントスを上回っている。思えば昨夏はセビージャからモンチSD(スポーツディレクター)を引き抜くと、財政健全化を図るために奇しくもエジプト代表モハメド・サラーをはじめとする複数の主力選手を放出。サラーは奇しくもレッズのユニフォームを身にまとい大ブレイクを果たすこととなるが、それでも代役として獲得したタレントが期待に見合うパフォーマンスを見せている。

今季ローマで確かなる実績を積み重ねているジェンギズ・ウンデル  写真提供:GettyImages

 トルコ国内で「ディバラ2世」と呼び声の高いFWジェンギズ・ウンデルは昨夏鳴り物入りでローマの地に降り立ったものの、当初はカルチョ独特の環境への適応に時間を要する。それでも徐々にエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督から信頼を掴み取ると、2月以降の公式戦16試合で8ゴールを叩き出すなど能力の片鱗を見せつけると、CL準々決勝2ndレグ・バルセロナ戦では後半途中からピッチに入ると決勝点をアシストする大仕事を果たしている。

 そしてもうひとり、サンプドリアから加入したFWパトリック・シックの存在も見逃せない。昨季、マラッシ(スタディオ・ルイジ・フェラーリス)を主な舞台にセリエA初挑戦にして13ゴールをマークし、ティフォージの度肝を抜いたこのチェコ代表だったが、ローマ加入後はシーズン通じてコンディション調整に苦しんだ印象が拭えない。それでも終盤にリーグ戦2試合連続でゴールを挙げるなど確実に復調の兆しは見せているだけに、ティフォージからかけられる期待も大きいはずだ。

 ちなみにローマはスクデット6連覇へ王手をかけたユベントス相手にホームで意地を見せ、カンピオナート決定を次節に持ち越した経緯を持っている。今季も昨季と同様のシチュエーションを迎えるが、2年連続となるユベントスの自力優勝ストップを果たし、来季CL参戦を決めることはできるのだろうか。

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