ブンデスリーガ バイエルン・ミュンヘン

レアルを相手に試合を支配したハインケスの戦術を徹底分析。想定外だったFW陣の不振

2ndレグでのルカ・モドリッチのスタッツ 写真提供:Wyscout

 いつものダイヤモンド型のフォーメーションの代わりにマドリードはほぼフラットな4-4-2を採用し、モドリッチはルーカス・バスケスをサポートするために右サイドの深い位置でプレーした。そのためバイエルンの中盤の3人(ハメス、トリッソ、チアゴ)はマドリードの2人(コバチッチとクロース)を相手に優位に立った。バイエルンが中盤を支配することで、フンメルスも最終ラインからのボール配給能力を存分に発揮することができる。彼のパスのほとんどはチームメートの攻撃を促すもので、その意図は常に攻撃的なものだった。つまりアラバとリベリが左サイドに大きなプレッシャーを掛け、トリッソ、ハメス、チアゴが中盤を支配し、フンメルスは後方から攻撃を指揮していた。これにより、バイエルンは試合とボールポゼッションをコントロールすることに成功したのだ。

 ただ選手個人のミスは、ユップ・ハインケスにとっても予想外だった。ウルライヒの信じられないスリップと、レバンドフスキとミュラーの不振には大きな代償が従うことになった。ウルライヒの一瞬の迷いが失点に繋がった一方で、精彩を欠いたレバンドフスキとミュラーは有効なビルドアップによるバイエルンの攻撃を台無しにしていた。このどちらかがうまく行っていれば、試合の結果は違ったのものになっていただろう。

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