また攻撃のスイッチという意味では、FC東京の2トップはともに相手の背後を突き単独で仕掛けることができる。それも抜群のスピードを誇る永井、ポスト役としても優れた万能型のディエゴ・オリベイラが常にそれを狙っているのだから、相手守備陣にとっては非常に厄介だ。
広島戦のダメ押し点は高萩の一本の狙いすましたパスからディエゴ・オリベイラが抜け出したもので、名古屋戦の2点目も太田宏介のロングパスで永井が裏を取ったことがきっかけだった。
第11節を終えてFC東京の19得点はリーグ最多であり2トップのゴールはその約7割を占めているが、今季が開幕した時点ではFC東京の攻撃がここまで大きな威力を発揮することを予想するのは難しかった。浦和レッズとの開幕戦ではスペースを与えない組織的な守備こそ形になっていたものの、攻撃に関してはほとんどチャンスを作り出せていなかった。実際、シーズン最初の3試合での得点は勝ち点と同じたったの1だった。
しかし長谷川健太監督が答えを見つけるのに長い時間は掛らなかった。前田遼一にポジションを譲っていた永井が第5節ガンバ大阪戦で初先発しレギュラーに定着すると、新監督の狙いが浸透し始めたチームは一気にエンジンが掛かる。FC東京は連勝で2位に急浮上し、直接対決を制したことで首位広島を視界にとらえている。
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