Jリーグ FC東京

60分までのゴールがチーム総得点の95%。破壊力を増すFC東京の強力2トップ

名古屋戦のD・オリベイラのパス相関図。高萩、永井から最も多くのパスを受けている 写真提供:Getty Images

 2トップの相性の良さは数字にも表れている。2人が揃って先発したリーグ戦6試合を全勝しているだけでなく、ディエゴ・オリベイラの9得点のうち永井がピッチ上にいない時間のゴールは第4節の1点だけしかない。永井がほぼフル出場していればそれも不思議ではないが、実際に永井が出場しているのはこれまでの全990分のうち566分だけだ。

 また永井自身の現在の好調ぶりと、彼の出場時間が限られていることは無関係ではないだろう。ほぼ毎試合途中交代し90分間のペース配分を心配する必要がない分、試合開始から存分にピッチ上を走り回り持ち味を遺憾なく発揮できている。Jリーグ公式サイトによれば、55分間しか出場しなかった広島戦でさえ、永井はこの試合に出場した選手の中で2番目となる28回のスプリントを記録しているのだ。

 永井の起用法はチーム全体の戦略にも直結している。チームの19得点のうち、実に18得点が60分までに生まれているのだ。逆に言えば61分以降にはわずか1得点しか奪っておらず、今季のFC東京が先行逃げ切り型のチームであることが分かる。

 順位表ではまだ広島が大きなリードを保っているが、ワールドカップ前の中断まで過密日程が続く5月も息切れせずに走り切ることができれば、2トップの爆発と共に急加速する首都クラブがタイトルレースの先頭に追い付く日も遠くないかもしれない。

著者:マリオ・カワタ

ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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