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マドリードの「シックスマン」。過小評価されたマクマナマンの実像

レアル・マドリード

スティーブ・マクマナマン(下段右から2人目)とレアル・マドリードの選手たち 写真提供:Getty Images

 彼はフェルナンド・レドンドのための、質のいいホイールだった。レドンドの頭脳の“脚”と表現されることもあった。その表現はイングランド人プレーメイカーの、場合によっては限られた期待をよく表現していた。マクマナマンはサッカー選手として最も知的で、バレンシアとの決勝戦のマン・オブ・ザ・マッチを受賞した男は、単純に彼の素晴らしいプレーによって受賞したのだ。

 マクマナマンはいつも興味をそそる選手だった。彼は5人制サッカーのように中盤でプレーし、相手とのコンタクトを最小限にとどめ、こっちで漂いあっちでボールを受け、他のところでもそれを試みて鋭くターンする。

 彼の時代のイングランド人には、そのようなミッドフィールダーは少なかった。それはいくつかの点で、ジョゼップ・グアルディオラ監督に率いられたバルセロナの破滅的な威力をもった「ティキ・タカ」の先駆けのようなものだった。

 彼はおそらく、サイドからカットインするようなウィンガーではなかっただろう。そして心配そうにリトリートするディフェンダーをゆったりとドリブルでかわしたりもしなかった。

 要約すると、スペインのグティに少し似ている。恐ろしいほど仕事熱心だったにもかかわらず、激しい乱闘の中にいるにはデリケートすぎる人物だった。木こりの取り囲む人物だったのだ。しかし彼は何度も驚くべき反発力を見せた。

 そしてもしも彼が最終的にマドリードの宝石であったとすれば、それはダイヤモンドでなければいけない。稀に見る優雅さと激しさを兼ね備えた。

著者:ムサ・オクウォンガ

ドイツはベルリンに在住のサッカー・ジャーナリストであり、ライター・『ESPN』など、複数メディアに寄稿している。

Twitter:@Okwonga

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